双子の秘密
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#511 [ゆーちん]
太一くんときちんと終わらせている事を願いながら、バイトに向かった。
こんな日に限って園田さんは休み。
顔が見たかったのに…タイミングの悪魔にでも取り付かれてんじゃないかな、私。
「いらっしゃいませ。」
レジで笑顔を売るバイトが始まった。
:08/12/11 12:21 :SH901iC :uyR.lwfs
#512 [ゆーちん]
一生懸命笑顔を作った。
心が不安定なせいでミスが出てしまわないように仕事に集中した。
おかげで上がりの時間までものすごく早かった。
「お疲れ様でした。」
毎日歩き慣れた暗い夜道を少し急ぎ足で歩く。
:08/12/11 12:21 :SH901iC :uyR.lwfs
#513 [ゆーちん]
《着いたよ。》
そんなメールが10分前に受信してあったから。
小走りで公園に向かうと、ベンチに座りながら携帯電話を触っている太一くんがいた。
「…お待たせ。」
「あ、斗羽ちゃん。」
私に気付いた太一くんは携帯電話をポケットに入れた。
:08/12/11 12:22 :SH901iC :uyR.lwfs
#514 [ゆーちん]
隣に座った途端、太一くんは口を開いた。
「久しぶり。」
「うん、久しぶり。」
「元気だった?」
「元気だよ。太一くんは?」
こんな話をしてる場合じゃない。
ちゃんと話を切り出さないと。
「元気じゃない。」
「え?どうかしたの?」
:08/12/11 12:23 :SH901iC :uyR.lwfs
#515 [ゆーちん]
「斗羽ちゃんに別れようって言われた。」
ありがたい事に太一くんから話を切り出してくれた。
「その事なんだけど、好きな人がいるんだ。だから太一くんとは付き合えない。」
「…。」
太一くんは何も言わずに私を見ていた。
:08/12/11 12:27 :SH901iC :uyR.lwfs
#516 [ゆーちん]
「前に言ったでしょ?複雑なの、この恋は。太一くんが絡むと余計に複雑なる。」
少しキツい言い方だった。
これで私が嫌われればいいのに。
なのに太一くんは引かなかった。
「2番目でもいいから…別れるなんて言わないで。」
:08/12/11 12:28 :SH901iC :uyR.lwfs
#517 [ゆーちん]
何でそんな事言うのかがわからない。
「私は太一くんの2番目なんて嫌だよ。」
「何言ってんの。斗羽ちゃんは1番だから。」
「嘘つかなくていいよ。恵と今日話したの。毎日たっくんはメールくれるって。結婚するんだって。」
:08/12/11 12:29 :SH901iC :uyR.lwfs
#518 [ゆーちん]
太一くんの目が一瞬それた。
「恵にはバレてない。だから今のうちに別れて、もう終わらそう。」
「恵とは…別れるから。」
「その言葉、前にも聞いた。」
太一くんは苦い顔を浮かべた。
恵と別れる気なんかないんなら、私に手を出さないで欲しかった。
:08/12/11 12:30 :SH901iC :uyR.lwfs
#519 [ゆーちん]
その手を握りしめた私も悪かったけど…嘘の優しさはもういらない。
「太一くんの事、好きだったよ。今までありがとうね。バイバイ。」
私はベンチから立ち上がった。
何も言わない太一くんを残して公園から出た。
:08/12/11 12:31 :SH901iC :uyR.lwfs
#520 [ゆーちん]
その時だった。
走り寄る音がして、腕を掴まれて、振り返った時には太一くんの顔が目の前にあった。
…辞めて。
そんなキスなんかいらない。
:08/12/11 12:33 :SH901iC :uyR.lwfs
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