双子の秘密
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#555 [ゆーちん]
何かを悟ってくれたのか、先生の声は優しかった。
化粧も髪も服装も、何も着飾らない。
ただ先生に会いたいだけ。
私はリビングで迎えが来るのを待った。
「斗美、晩ご飯は?」
「いらない。ちょっと出掛けてくる。」
「その格好で?」
:08/12/11 13:03 :SH901iC :uyR.lwfs
#556 [ゆーちん]
さすがのママも驚いていた。
それもそのはず。
今まですっぴんで出掛けた事はない。
その上、ジャージに髪はノーセット。
ママが驚いても仕方ない。
「彼氏だからいいの。」
「彼氏だからダメなんじゃないの?斗美、何か変わったね。」
うん、変わった。
:08/12/11 13:03 :SH901iC :uyR.lwfs
#557 [ゆーちん]
彼氏だから、こんな格好見られたくなかった。
彼氏じゃなくても、どんな人にでもダサい格好は見られたくない。
でもさ、先生は不思議とそんな恥じらいを感じさせない人なんだよね。
こんなダサい私も受け入れてくれてるし。
:08/12/11 13:04 :SH901iC :uyR.lwfs
#558 [ゆーちん]
「体調はよくなった?」
「うん、平気。明日から学校行くから。」
「そう。」
平気なわけない。
学校も行きたくない。
でも、いつまでもこのままじゃいられない。
《ついたよ。》
先生からのメール。
「いってくる。」
「いってらっしゃい。気をつけてね。」
:08/12/11 13:05 :SH901iC :uyR.lwfs
#559 [ゆーちん]
ママに見送られてリビングを出た。
玄関を開けて、外に飛び出す。
先生の車があった。
一気に顔が綻ぶ。
「先生!」
「ずる休み女子高生!」
「アハハ。何そのあだ名。」
「はい、乗って下さいな。」
:08/12/11 13:06 :SH901iC :uyR.lwfs
#560 [ゆーちん]
先生はいつもと変わらない笑顔だった。
ねぇ。
私の笑顔もいつもと同じ?
910号室に着いた。
「お風呂ためて。」
「はーい。」
シャワーで浴槽を軽く流してからスイッチを押す。
たまったら、先生と一緒にお風呂に入ろう。
着替えなら、確かストックがあったはず…。
:08/12/11 13:07 :SH901iC :uyR.lwfs
#561 [ゆーちん]
リビングに戻った。
「先生。」
「ん?」
返事はキッチンから聞こえた。
「何してんの?」
「鍋焼きうどん作ってる。」
「へぇ。」
「誰かさんが体調悪いとか言うから、わざわざうどん買って来たんだよー。」
:08/12/11 13:08 :SH901iC :uyR.lwfs
#562 [ゆーちん]
「だから迎えが遅かったのか!」
「失礼ね、今時の女子高生は。」
「ハハッ。何でおかま口調なの!」
笑いながら鍋焼きうどんの完成を待った。
何から伝えればいいかな。
こんな幸せで安らぐ事って他にないの。
:08/12/11 13:09 :SH901iC :uyR.lwfs
#563 [ゆーちん]
ありきたりな言葉だけど、私にとって先生は…必要な存在なんだよ。
涙が出るくらい、先生に恋してる。
「いただきます!」
「召し上がれ!」
温かいと言うより熱い。
そんな鍋焼きうどんをつつきながら食べた。
美味しかった、すごく。
:08/12/11 13:10 :SH901iC :uyR.lwfs
#564 [ゆーちん]
食べ終わり、片付けを済ませて、テレビをつけた。
「先生。」
「はい、桜井。」
「好きだよ。」
「…おいおいおいおい。いきなり照れる事言わないでよ。熱でもある?」
「本当だよ。私さ、昔はね隣に誰かいると眠れなかったの。」
:08/12/11 13:11 :SH901iC :uyR.lwfs
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