双子の秘密
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#606 [ゆーちん]
そして迎えたクリスマスイヴ。
この日は、私の運命の日だと思う。
そんな事、まだ知らない私はバイト先で笑顔を振りまいていた。
「桜井さん、休憩入って。」
店長からそう言われた私は休憩室へと向かった。
:08/12/11 13:48 :SH901iC :uyR.lwfs
#607 [ゆーちん]
「お疲れ様です。」
パートのおばさん達が帰って行く。
一気に静かになった休憩室の奥には…彼がいた。
目が合うと、園田さんはニコッと笑ってくれた。
「メリークリスマスイヴ。」
「アハハ。」
:08/12/11 13:49 :SH901iC :uyR.lwfs
#608 [ゆーちん]
夜、一緒に過ごせなくても、今こうやって少しでも話をする事ができて幸せだと感じた。
「今日、ごめんね。」
私は首を横に振った。
「今度、映画でも行こうね。」
気分が晴れた。
「…はい!」
笑顔が零れた。
その後、他の人も休憩室に入ってきたので二人っきりは終わり。
:08/12/11 13:51 :SH901iC :uyR.lwfs
#609 [ゆーちん]
残念だったけど、みんなで楽しく話せたからよかった。
「それじゃあ俺、休憩終わりなんで!」
そう言って園田さんは言ってしまった。
私は基本レジだし、園田さんは裏で作業をしているので仕事中、なかなか会えない。
今日、またもう一度会えればいいな。
会えるかな…。
:08/12/11 13:51 :SH901iC :uyR.lwfs
#610 [ゆーちん]
クリスマスイヴだけあって、今日のお客さんはカップルが多かった。
恵と太一くんが来ないか心配だったけど、お蔭さまで来なかったみたい。
よかった。
二人が一緒にいるところは見たくないもの。
21時、店長は申し訳なさそうに言った。
:08/12/11 13:52 :SH901iC :uyR.lwfs
#611 [ゆーちん]
「桜井さん、悪いんだけど1時間延長してもらえないかな?」
明日、バイトは休みだし別にいっか。
どうせ何も用はない。
「いいですよ!」
「助かるよ。ごめんね。」
そういう訳で1時間延長。
夜だと言うのに客足はなかなか減らなかった。
:08/12/11 13:53 :SH901iC :uyR.lwfs
#612 [ゆーちん]
残りの1時間。
矢のように過ぎて行った。
「桜井さん、上がっていいよ。」
店長にそう言われて時計を見ると短い針が10を指していて驚いた。
さっき見た時は9だったじゃない。
60分が5分に感じるよ。
「お疲れ様でした。」
:08/12/11 14:04 :SH901iC :uyR.lwfs
#613 [ゆーちん]
着替えを済ませ、裏口から外に出た。
…店長のバカ。
1時間、延長なんかしてなかったら、こんな辛い思いしなくてよかったのに。
その場から動けなかった。
見たくなかった。
21時上がりだと見なくて済んだのに。
園田さんが…キスをしているところを。
:08/12/11 14:05 :SH901iC :uyR.lwfs
#614 [ゆーちん]
見た事のない女性。
でも誰かはわかるよ。
園田さんの右手に握られていた左手の薬指には指輪が輝いていた。
…奥さんだ。
きっと、いや、絶対。
何ヶ月も奥さんとSEXしていないって理由もわかった。
:08/12/11 14:14 :SH901iC :uyR.lwfs
#615 [ゆーちん]
奥さんは、妊娠中だった。
お腹が大きい。
2人目を授かってるんだ。
今まで見た事のないような優しい顔で、園田さんは奥さんに笑いかけていた。
繋がれた手が、妙に目について、私の中で何かが崩れた。
二人は歩きだした。
園田さん、今日は車じゃないんだ…。
:08/12/11 14:15 :SH901iC :uyR.lwfs
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