冷たい彼女
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#371 [ゆーちん]
「さぁ、どうだろ。秘密。」


こうやってすぐに茶を濁すところも好き。


照れ屋なのか冷たいのかわかんないけど、そこが好き。


「一人暮らしは寂しいから、頻繁に現れてね?」

「毎日現れる予定だけど。」

「それは迷惑だから嫌。」


ほら、俺はそういうとこが好きなんだ。

⏰:08/12/13 16:35 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#372 [ゆーちん]
バレンタインに互いの気持ちがわかってよかった。


だって、その約2週間後の今日には中学校を卒業だもん。


早かったな。


この3年間。


つーか、この1年間もかなり早かった。


凜が来てから毎日毎日、24時間じゃ足りないくらい充実していた。

⏰:08/12/13 16:38 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#373 [ゆーちん]
辛い事もあったけど、楽しい事の方が多かったな。


…なんて考えていると卒業式は終わっていた。


香奈、澪、大輝は笑えるぐらい泣いていた。


美帆や千夏、ほとんどの奴は感動でチラリと涙を見せたり目を潤ませていた。


俺もその一人。

⏰:08/12/13 16:39 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#374 [ゆーちん]
泣かない奴もいる。


それが凜。


強い目で、ずっと前を見ていた。


卒業式でも泣かない凜はかっこよくて、何だかちょっと寂しかった。


「今日が最後の下校かぁ〜。」

「…そうだね。」


卒業式は午前中に終わり、昼からトメ食堂で打ち上げ。


だからこれが最後の下校。

⏰:08/12/13 16:40 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#375 [ゆーちん]
「最後ぐらい手ぇ繋いでいい?」

「…いいよ。」


差し出された小さな手を握り、寄り添った凜と同じ歩幅でゆっくりと歩いた。


「泣いてなかったね。」

「え?」

「式。やっぱ1年足らずじゃ思い入れ無いか。」

⏰:08/12/13 16:41 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#376 [ゆーちん]
一緒に過ごした1年間。


離ればなれになる友達。


後輩たちとの別れ。


やっぱそれなりに俺は寂しくて、泣けたんだ。


「そうじゃないよ。」

「…ん?」

「ココロの中では泣いてた。表面で泣かなかったのは、ちゃんと目に焼き付けたかったから。」

⏰:08/12/13 16:42 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#377 [ゆーちん]
凜の冷たかった手が、俺の温もりを受け継いで、どんどん暖まって来た。


「この中学校の事ほとんど何にも知らないまま卒業もやだなって思って、せめて卒業式って行事だけでもココロに焼き付けないと、って。こういう考えって変?」

⏰:08/12/13 16:42 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#378 [ゆーちん]
ちっとも変じゃない。


凜ちゃんらしい考えだと思う。


やっぱりカッコイイよ。


「俺はいい彼女を捕まえたなぁ〜。」

「…フフッ。何だそれ。」

「いい男にはいい女。」

「いい男?どこよ、それ。」

「…泣いちゃうぞぉ。」

⏰:08/12/13 16:43 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#379 [ゆーちん]
「まだ泣く気?式であんなに泣いてたくせに。」

「香奈や大輝よりマシだっつーの!」


笑い声を響かせながら最後の下校が終わった。


後でまた会えるし、一緒に手を繋いで歩く事もできる。


でも制服を着て【下校】するのは、これが最後なんだ。


寂しい。

⏰:08/12/13 16:45 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#380 [ゆーちん]
杉浦家を後にし、のんびり歩いて江森家に到着。


「ただいま〜。」


玄関のドアを開けた直後だった。


「心!」


振り向くと、息の上がった凜がいた。


「えっ、どうしたの。」

「忘れてた!」

「え?」

⏰:08/12/13 16:48 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


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