冷たい彼女
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#380 [ゆーちん]
杉浦家を後にし、のんびり歩いて江森家に到着。
「ただいま〜。」
玄関のドアを開けた直後だった。
「心!」
振り向くと、息の上がった凜がいた。
「えっ、どうしたの。」
「忘れてた!」
「え?」
:08/12/13 16:48 :SH901iC :1vm0Oe8g
#381 [ゆーちん]
「…写真。」
凜の手にはカメラが握られていた。
小さく笑った凜の息は、もう元に戻っている。
「写真?」
「制服着るの最後だよ。記念に撮ろう?二人でなんか滅多に撮らないし。」
凜の嬉しい誘いは、断るという選択肢なんてない。
:08/12/13 16:49 :SH901iC :1vm0Oe8g
#382 [ゆーちん]
開いたままのドアから、家の中に向かって俺は叫んだ。
「母ちゃーん!ちょっと来て!」
「えー、何?」
卒業式後の母ちゃんは、まだ着替えもせずに、ちょっと着飾ったままの格好だった。
「写真撮って。」
「写真?」
:08/12/13 16:49 :SH901iC :1vm0Oe8g
#383 [ゆーちん]
外に出てくると、母ちゃんに気付いた凜は笑顔で頭を下げた。
「あぁ、凜ちゃん!」
「こんにちは。」
「写真って凜ちゃんと?」
母ちゃんの質問に俺は低い声で答えた。
「こういう写真は普通、校門前で撮るんだけどなぁ。」
:08/12/13 16:50 :SH901iC :1vm0Oe8g
#384 [ゆーちん]
母ちゃんは場所に文句があるらしく、なかなかシャッターを押してくれなかった。
「海をバックにしようよ。」
凜の提案に母ちゃんは食いつき、ほんの数歩だけ歩いて、俺らの背景を海と決めた。
「うん。今日は天気いいから海も良い感じだわ。」
「んじゃ撮って。」
「…はい、ポーズ。」
:08/12/13 16:51 :SH901iC :1vm0Oe8g
#385 [ゆーちん]
カメラが光る。
ボタン一つで何十年も先まで思い出が作られるのは、本当すげぇ話だよな。
「もう一枚ね。」
ポーズを変えて、もう一枚。
「はい、OK!」
「ありがとうございます。」
2枚を撮り終えた母ちゃんは言った。
:08/12/13 16:52 :SH901iC :1vm0Oe8g
#386 [ゆーちん]
「心、撮って。」
「は?」
「私だって凜ちゃんと撮りたいもん!」
「何でさ?」
「記念よ!」
隣に彼氏の母親を迎えた凜は戸惑っていたが、すぐにいつもの笑顔を咲かせた。
「はい、ポーズ。」
撮り終えると、今度は凜。
:08/12/13 16:53 :SH901iC :1vm0Oe8g
#387 [ゆーちん]
「親子で撮ったげるね。」
俺は反対した。
だけど女2人に無理矢理立たされて、強引ながらも笑顔を咲かせて、母息子という珍しいショットもおさめた。
「んじゃ凜ちゃん送ってくるわ。」
「いいよ。私が勝手に来たんだし一人で帰る。」
:08/12/13 16:53 :SH901iC :1vm0Oe8g
#388 [ゆーちん]
凜は珍しく遠慮した。
それを見ていた母ちゃんは俺の頭を叩いてきた。
「バカ!」
「痛っ!」
「彼女を送っていかない男なんか、男じゃないね。」
「送っていかないなんて言ってないじゃん!」
「凜ちゃんも!遠慮なんかしないでいいのよ。こんなバカ息子でいいなら、いつでもコキ使ってちょうだい。」
:08/12/13 16:54 :SH901iC :1vm0Oe8g
#389 [ゆーちん]
「あっ…はい。」
さすがの凜もうちの母ちゃんのパワフルさには慣れていなくて、圧倒されていたみたいだった。
「じゃあ凜ちゃん行こう。」
「あ、うん。ありがと。」
:08/12/13 16:55 :SH901iC :1vm0Oe8g
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