冷たい彼女
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#425 [ゆーちん]
「ギャハハハ!」
「父親キャラでもないくせに。」
「あ?文句あんのかよ。俺は子沢山な家族を夢見てんだよ。」
照れもせずに、向井竜はやりきった感たっぷりで潮風に髪を揺らされていた。
「次、凜か心。」
「んじゃ俺〜。」
:08/12/13 23:16 :SH901iC :1vm0Oe8g
#426 [ゆーちん]
腹いっぱい息を吸い込んでいると、大輝は隣で呟いた。
「愛してるよ凜ちゃーん、とかなら別に聞きたくないから。」
「ゲホッ!」
「あら、図星?」
「何でわかんの!」
焦っていると竜までもが、
「そんな愛の言葉は二人っきりのときに囁いてやれ。。」
と文句をつけに来た。
急遽、発言、変更。
:08/12/13 23:17 :SH901iC :1vm0Oe8g
#427 [ゆーちん]
考えに考えて結局は、
「いつか江森凜になってねーっ!」
というプロポーズのような言葉。
「うっわ、タチ悪いっつーの。」
「ガッカリだね。」
「2人、うるさい!さぁ凜ちゃんの返事は?」
:08/12/13 23:18 :SH901iC :1vm0Oe8g
#428 [ゆーちん]
香奈が笑う隣で、凜は叫んだ。
「やーだよっ!」
その返事に竜と大輝と香奈は大笑いしていた。
「はい、心くん残念でした!」
「ギャハハハ、玉砕!」
「プロポーズ失敗だよ!」
凜も一緒に笑ってた。
「泣いてもいいですかーっ!」
:08/12/13 23:19 :SH901iC :1vm0Oe8g
#429 [ゆーちん]
「ダメ!」
「泣くな、玉砕男!」
「アハハハッ!」
これでいい。
凜に断られようがバカにされようが、みんなが笑っていられるなら、それでいい。
いつか笑えないほどカッコいいプロポーズすっから、凜ちゃん待っててよ?
:08/12/13 23:20 :SH901iC :1vm0Oe8g
#430 [ゆーちん]
ひたすら海で騒いだ後、辺りが真っ暗になって来たので解散。
またな、って言ってバイバイした。
俺は凜を送って行く。
手を繋ぎながら。
「寒い〜。凜ちゃんの手、暖かい。」
「水なんか触ってるからだよ。」
俺の冷たい手を、凜の小さな暖かい手が包んでくれていた。
:08/12/13 23:20 :SH901iC :1vm0Oe8g
#431 [ゆーちん]
「あ、心?」
「はぁい?」
「卒業祝いあげる。」
「ん?卒業祝い?」
「…はい。」
目の前に差し出されたのは、鍵。
「鍵?」
「春から私が住む部屋の鍵。あげる。」
:08/12/13 23:21 :SH901iC :1vm0Oe8g
#432 [ゆーちん]
冷たい金属が、せっかく凜のおかげで温もりかけていた俺の手に触れた。
「えっ、つーか、これっていわゆる…」
「合い鍵だよー。無くすなよー。」
「ちょっと待って。マジだめだって。」
立ち止まってしまった俺。
凜は笑っていた。
「何がダメ?そんな泣いてちゃ、私が泣かせたみたいに思われるじゃん。」
:08/12/13 23:22 :SH901iC :1vm0Oe8g
#433 [ゆーちん]
「凜ちゃんが泣かせたんだよ…。」
「覚えがないなぁ?」
「…ありがと。本当、嬉しい。」
凜が俺の顔を覗き込みながら言った。
「私も嬉しい。鍵一つで泣いてくれるなんてさ。」
:08/12/13 23:22 :SH901iC :1vm0Oe8g
#434 [ゆーちん]
凜の笑顔。
凜の手の温もり。
凜の言葉。
そして、鍵の冷たさ。
距離が何だよ。
そんなの、同じ海の上じゃん。
寂しいなんて言ってらんない。
こうやって、いつでも会える機会を与えてくれたんだから、悲しんでちゃバチが当たる。
:08/12/13 23:23 :SH901iC :1vm0Oe8g
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