冷たい彼女
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#426 [ゆーちん]
腹いっぱい息を吸い込んでいると、大輝は隣で呟いた。


「愛してるよ凜ちゃーん、とかなら別に聞きたくないから。」

「ゲホッ!」

「あら、図星?」

「何でわかんの!」


焦っていると竜までもが、

「そんな愛の言葉は二人っきりのときに囁いてやれ。。」

と文句をつけに来た。


急遽、発言、変更。

⏰:08/12/13 23:17 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#427 [ゆーちん]
考えに考えて結局は、

「いつか江森凜になってねーっ!」

というプロポーズのような言葉。


「うっわ、タチ悪いっつーの。」

「ガッカリだね。」

「2人、うるさい!さぁ凜ちゃんの返事は?」

⏰:08/12/13 23:18 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#428 [ゆーちん]
香奈が笑う隣で、凜は叫んだ。


「やーだよっ!」


その返事に竜と大輝と香奈は大笑いしていた。


「はい、心くん残念でした!」

「ギャハハハ、玉砕!」

「プロポーズ失敗だよ!」


凜も一緒に笑ってた。


「泣いてもいいですかーっ!」

⏰:08/12/13 23:19 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#429 [ゆーちん]
「ダメ!」

「泣くな、玉砕男!」

「アハハハッ!」


これでいい。


凜に断られようがバカにされようが、みんなが笑っていられるなら、それでいい。


いつか笑えないほどカッコいいプロポーズすっから、凜ちゃん待っててよ?

⏰:08/12/13 23:20 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#430 [ゆーちん]
ひたすら海で騒いだ後、辺りが真っ暗になって来たので解散。


またな、って言ってバイバイした。


俺は凜を送って行く。


手を繋ぎながら。


「寒い〜。凜ちゃんの手、暖かい。」

「水なんか触ってるからだよ。」


俺の冷たい手を、凜の小さな暖かい手が包んでくれていた。

⏰:08/12/13 23:20 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#431 [ゆーちん]
「あ、心?」

「はぁい?」

「卒業祝いあげる。」

「ん?卒業祝い?」

「…はい。」


目の前に差し出されたのは、鍵。


「鍵?」

「春から私が住む部屋の鍵。あげる。」

⏰:08/12/13 23:21 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#432 [ゆーちん]
冷たい金属が、せっかく凜のおかげで温もりかけていた俺の手に触れた。


「えっ、つーか、これっていわゆる…」

「合い鍵だよー。無くすなよー。」

「ちょっと待って。マジだめだって。」


立ち止まってしまった俺。


凜は笑っていた。


「何がダメ?そんな泣いてちゃ、私が泣かせたみたいに思われるじゃん。」

⏰:08/12/13 23:22 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#433 [ゆーちん]
「凜ちゃんが泣かせたんだよ…。」

「覚えがないなぁ?」

「…ありがと。本当、嬉しい。」


凜が俺の顔を覗き込みながら言った。


「私も嬉しい。鍵一つで泣いてくれるなんてさ。」

⏰:08/12/13 23:22 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#434 [ゆーちん]
凜の笑顔。


凜の手の温もり。


凜の言葉。


そして、鍵の冷たさ。


距離が何だよ。


そんなの、同じ海の上じゃん。


寂しいなんて言ってらんない。


こうやって、いつでも会える機会を与えてくれたんだから、悲しんでちゃバチが当たる。

⏰:08/12/13 23:23 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#435 [ゆーちん]
「引っ越しの日、笑顔で見送ってあげられる気がする。」

「それはよかった。みんなの前で泣かれちゃたまんないもん。」

「寂しくなったら、これでいつでも会いに行っていい?」

「その為の合い鍵なんだけど。」

⏰:08/12/13 23:24 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


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