冷たい彼女
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#51 [ゆーちん]
凜の話はいつの間にか流れてしまい、他愛もない話で盛り上がった。


日が沈めば自然に家へと帰って行く。


不審者や痴漢、泥棒の出た事のないこの島の夜道は暗いけれど月が明るく、のんびりと歩きながら帰る事ができるんだ。

⏰:08/12/11 21:27 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#52 [ゆーちん]
翌日は学校に行く時間より早くに目が覚めた。


無駄に余った時間は携帯ゲームをして過ごした。


が、バカはやっぱりバカだった。


すっかり夢中になってしまい、時間を忘れていたんです。


「あんた一体何時に出掛けんのさ?」


母ちゃんが言った。

⏰:08/12/11 21:29 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#53 [ゆーちん]
「あ?10時前。」

「んーなのとっくに過ぎてるよ。」


…え?


時計を見ると10時半を回っていた。


血の気が引いた。


「やっべぇ!」


携帯電話と財布をポケットに入れ、家を飛び出した。


杉浦家まで猛ダッシュ。


3分で到着だ…。

⏰:08/12/11 21:29 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#54 [ゆーちん]
「り…ん、ちゃー…ん…」


息切れなんて久しぶり。


「あらあら、心ちゃんじゃないの。どうした?」


杉浦のばあちゃんが俺に笑顔を向ける。


「凜…ちゃん…は?」

「部屋にいるよ。」

「呼んで…来てく…れる?」

「あいよ。」

⏰:08/12/11 21:30 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#55 [ゆーちん]
ばあちゃんは立派な足取りで階段を上って行き、凜を呼んで来てくれた。


「おばあちゃん、私ちょっと出掛けるね。」

「心ちゃんとかい?」

「うん。」

「はいよ。気をつけてね。」

「いってきます。」

「ばあちゃん、いってきます。」

⏰:08/12/11 21:30 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#56 [ゆーちん]
初めて見た私服の凜は、口が開く程のものだった。


フワフワしたワンピースが見事に似合っている。


少し歩くと、凜は言った。


「童貞は時間も守れないわけ?」

「…ごめんなさい。ゲームしてたら時間忘れてました。」

「ゲームに負けたんだ、私。」

⏰:08/12/11 21:31 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#57 [ゆーちん]
「いや、決してそういう訳じゃないんだけど…」

「貸し1ね。」


そう言って凜は歩き出した。


「はい。」


俺もいつもと同じで、凜の後ろを着いて歩く。


6月末、とても暑い日だった。

⏰:08/12/11 21:32 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#58 [ゆーちん]
「この島の案内して。」


凜は振り返りもせずに言う。


「案内?」

「そ。早くこの島に慣れたいの。」

「OK!じゃあ俺んち戻ろ。自転車取ってくるわ。」

「自転車?」


凜は振り返った。


…笑ってないけど、うん。


可愛い。

⏰:08/12/11 21:32 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#59 [ゆーちん]
「後ろ乗せたげる。俺んちこっちだから!」


来た道を戻る。


今は俺が前で、凜が後ろ。


いつもと逆。


違和感たっぷり。


「ねぇ。」

「はい。」

「隣歩けば?」

「…いいの?」

「いいよ。デートなんでしょ?」

⏰:08/12/11 21:33 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#60 [ゆーちん]
素晴らしい進歩。


初デート。


初横並び歩き。


テンション上げずにいられないでしょ!


「手ぇ繋いでいい?」


そう、勢いでお願いしてみた。


「やだ。」


…無理でした。


うん、最初から欲張っちゃダメだよねー。

⏰:08/12/11 21:33 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


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