冷たい彼女
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#112 [ゆーちん]
「違います。深入りしてこないで下さい。」
「何言ってんの!どんな子?何でそんな楽しそうな話隠してたの!もっと聞かせてよぉ。」
うぜぇ。
母ちゃんのこの性格と俺の性格はよく似てる、なんて言われるけど…どこが似てるんだか。
いつまでたってもギャーギャー喚くなんて…ガキか。
:08/12/12 08:41 :SH901iC :ufvbrGno
#113 [ゆーちん]
ばあちゃんもじいちゃんもニヤニヤと俺を見る。
そんなに孫の恋愛が気になるのか?
「なるほどね。それで今日は畑仕事手伝ってくれたんだぁ。」
と、ばあちゃん。
「単純だな。」
と、じいちゃん。
みんなしてバカにしやがって。
:08/12/12 08:42 :SH901iC :ufvbrGno
#114 [ゆーちん]
15歳の旬の男が彼女の1人もいないでどうすんだっつーの。
「心。」
「何だよ。」
父ちゃん、まだからかう気か?
「避妊はちゃんとしろよ〜。」
…酔っ払いが。
さっさと寝ろ。
:08/12/12 08:42 :SH901iC :ufvbrGno
#115 [ゆーちん]
うちの家族はどうもお気楽な感じで、今みたいな下ネタは日常茶飯事だった。
「そうよ、心。あなたまだ中3なんだし、子供なんかできたとか言って泣き付いて来ないでね。」
母ちゃん、そりゃないよ。
「じいちゃんは、ひ孫大歓迎だからな!」
「ばあちゃんも大歓迎。」
:08/12/12 08:43 :SH901iC :ufvbrGno
#116 [ゆーちん]
無茶苦茶だ。
呆れて物も言えない。
つーか、4人共さぁ…俺まだ童貞だぞ?
子供だのひ孫だの、いつの話になるやら。
「ごちそうさまいってきます。」
2つの単語を息継ぎせずに言い終えると俺は家から飛び出した。
:08/12/12 08:44 :SH901iC :ufvbrGno
#117 [ゆーちん]
あー、財布忘れた。
慌てて出てきたから携帯だけしか持って来なかった。
まぁ、いっか。
この島でいると金を使う事なんか滅多にない。
自販機も少ないし。
財布は邪魔な荷物として扱われる事が多かった。
ぶっちゃけ携帯もあんまり使わないんだけど…時計変わりだな。
:08/12/12 10:24 :SH901iC :ufvbrGno
#118 [ゆーちん]
…つーか慌てて出て来て正解じゃん。
また遅刻するところだった。
少し傷んで茶色くなりかけていた俺の髪が、夜風にもて遊ばれる。
自転車のペダルも自然と軽い気がした。
早く凜を乗せて、人の重みを感じたい。
杉浦家についたのは5分後だった。
:08/12/12 10:26 :SH901iC :ufvbrGno
#119 [ゆーちん]
時間ちょうど。
完璧。
「こんばんにゃ〜。凜ちゃーん!」
居間から杉浦のばあちゃんが出てきた。
「はいはい、どこの猫かと思ったら江森んちの猫かい。」
「そ、僕、江森心くん!」
「凜ちゃんならもうすぐ来るから、上がって待つかい?」
:08/12/12 10:29 :SH901iC :ufvbrGno
#120 [ゆーちん]
今まで杉浦家なんて数え切れないくらいお邪魔した。
だけど凜が来てから特別な家に思えて、なかなか上がれないんだ。
「ううん、ここにいるよ!」
「そうかい。もうちょっと待っててやって。」
「おう!」
:08/12/12 10:29 :SH901iC :ufvbrGno
#121 [ゆーちん]
玄関の置物を見ながら待っていると3分もしないうちに凜が現れた。
「凜ちゃん!こんばんは〜。」
「あんたは時間に極端だね。」
俺に目もくれず、凜は『いってきます。』と居間にいるじいちゃんばあちゃんに叫んでから、サンダルを履いて外に出た。
:08/12/12 10:30 :SH901iC :ufvbrGno
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