冷たい彼女
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#124 [ゆーちん]
髪は巻いたりせず真っ直ぐのまま。
アクセサリーもなし。
化粧だけはいつも通りだったけど。
「凜ちゃん、海行こう!」
「…いいよ。」
凜は笑わない。
だけど声で気分がわかるんだ。
今日の声は機嫌がいい。
怒ってもないし、悲しんでもない。
普通の状態。
:08/12/12 10:44 :SH901iC :ufvbrGno
#125 [ゆーちん]
慣れた動きで自転車の後ろに乗り、凜は言った。
「あ、携帯忘れた。」
「取って来る?」
「…いいや。別にいらない。この島に来てから携帯依存症治ったし。」
携帯依存症?
何の事かわからないが、とりあえず俺は出発した。
:08/12/12 10:45 :SH901iC :ufvbrGno
#126 [ゆーちん]
海は、誰もいなかった。
誰かいたとしても知り合いだから、それはそれで面倒だし恥ずかしい。
貸し切りでよかった。
「あそこ座ろう!」
「…うん。」
俺らがいつも溜まる岩場を指さした。
砂浜に足を取られながらも、今日は俺の後ろを一生懸命ついて来てくれる凜。
:08/12/12 10:46 :SH901iC :ufvbrGno
#127 [ゆーちん]
最初は一目惚れだったけど、俺どんどん中身も好きになってる気がする。
俺に冷たい事言っといて、こうやって付き合ってくれる。
根はいい子なのに、どうして冷たい態度ばかりなんだろう。
そんな事を気にしていると後ろから声がした。
:08/12/12 10:47 :SH901iC :ufvbrGno
#128 [ゆーちん]
「きゃっ!」
慌てて振り返ると凜は転んでいた。
「うぉ!大丈夫?」
サンダルのヒールが砂のせいで埋もれてしまい、バランスが取れずに転んでしまったようだ。
俺は慌てて手を差し延べると、凜はガッと手を掴み、勢いよく立ち上がった。
「…どーも。」
「あ!」
:08/12/12 10:47 :SH901iC :ufvbrGno
#129 [ゆーちん]
「何よ、うるさいな。」
「初めて手ぇ繋いだね!」
俺は繋いだ手を顔の前まで上げた。
凜と俺の手が繋がれている。
「…。」
凜は少し難しそうな顔をしていた。
「また転ぶと危ないから、このまま岩場まで行こ〜?」
:08/12/12 10:48 :SH901iC :ufvbrGno
#130 [ゆーちん]
凜は何も言わなかったので、手を繋いだまま歩いた。
凜の手は小さかった。
今まで数少ないながら繋いだ女子の手の中でも、1番小さかった。
そんな小ささを、また好きになってしまう。
この波音が妙にロマンチックで、改めて波打つ海に感謝した。
「凜ちゃん。」
「何。」
:08/12/12 10:48 :SH901iC :ufvbrGno
#131 [ゆーちん]
「あっちの岩場にしない?」
遠くの方を指さした俺。
「何で。」
「もっと繋いでたいもん。」
そう言うと、凜はパッと手を離して、目の前の岩場に座った。
「香奈に殺されても知らないよ?」
:08/12/12 10:49 :SH901iC :ufvbrGno
#132 [ゆーちん]
シラッと言ったその言葉。
昨日の香奈の怖い顔を思い出してしまった。
「ごめん。明日も太陽が見たいから、ここでいいです。充分です。最高です。」
「香奈の名前聞いただけで焦りすぎでしょ。肝っ玉の小さい男は嫌いだからね。」
凜の隣に座ると、海が一望できた。
:08/12/12 10:50 :SH901iC :ufvbrGno
#133 [ゆーちん]
滅多に夜の海なんか来ないから、いつも遊んでる場所とは違う感じがした。
「今日は爆発頭じゃないんだね。」
「爆発頭?」
「うん。学校には毎日アフロみたいに爆発頭で来てるじゃん。」
凜ちゃん、そりゃないよ。
あれは爆発頭でもなけりゃアフロでもない。
:08/12/12 10:51 :SH901iC :ufvbrGno
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