冷たい彼女
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#261 [ゆーちん]
凜の部屋は甘い匂いがした。


「何でこんないい匂いすんの?」

「お香焚いてるから。」

「なるほど!俺も今度、本島に行ったらお香買お。」

「んー、じゃあさ。」

「え?」


凜は引き出しの中を漁り、1つの袋を取り出した。

⏰:08/12/12 13:27 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#262 [ゆーちん]
「これあげるよ。前まで使ってたんだけど今はもう使わないし。お香立ても入ってるよ。」

「…凜ちゃん。」

「何でいつもすぐに泣きそうな顔になるのよ!」

「だって〜!凜ちゃんが俺にプレゼントなんて初めてだよ?」

「…そうだっけ。」

⏰:08/12/12 13:28 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#263 [ゆーちん]
凜は袋を持って、ベットにもたれて座る俺の隣に腰を降ろした。


「はい、匂い嗅いで。」


凜が袋を開けると、部屋とはまた違う爽やかな匂いがした。


「超いいじゃん。」

「でしょ?だから、はい。あげる。」


袋を受け取り『ありがとう。』を何度も言った。

⏰:08/12/12 13:29 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#264 [ゆーちん]
何度も何度も言う俺に、凜は『わかったよ。』と笑ってくれた。


それから文化祭の話をしたり、島の話をしたり、修学旅行の話をした。


途中テレビをつけたが、夕方はニュースばかりで面白い番組はやっていなかったので、音楽を流してもらった。

⏰:08/12/12 13:30 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#265 [ゆーちん]
「洋楽とか聞くんだ。」

「…うん。心は聞かないの?」

「あんまり。」

「貸して欲しかったらいつでも貸したげるよ。」

「凜ちゃん…優しいねぇ。」

「またその顔。泣きそうな顔が武器とでも思ってんの?」


思ってないよ。


本当に、泣きそうなくらい嬉しいんだよ。

⏰:08/12/12 13:30 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#266 [ゆーちん]
「でもいい!聞きたくなったら凜ちゃんの部屋にくれば聞けるでしょ?」


そうだよ。


だって俺ら恋人だし〜!


「そんな迷惑な行動しないでよ。」


…また断られました。


「えぇー!何でさぁ!いいじゃんか!」

⏰:08/12/12 13:31 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#267 [ゆーちん]
「うるさいなぁ、もう。わかったよ。聞きたきゃいつでも来ればいいよ!」


叱られたけど…結果オーライ?


「やった〜。」

「本当、心みたいな人と付き合ってると退屈しないわ。」


凜ちゃん。


そういう嬉しい事は笑顔で言って欲しいんだけど。

⏰:08/12/12 13:42 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#268 [ゆーちん]
でもまぁいいや。


褒められてるのに変わりはない。


「俺も凜ちゃんみたいな子、初めてだよ。」

「ふーん。私みたいな性格の悪い子とは付き合った事ないんだ。」

「そうじゃないよ。それに凜ちゃん性格悪くないし。」

「お人よしだね。」

⏰:08/12/12 13:42 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#269 [ゆーちん]
「凜ちゃんみたいな素直な子、初めて。」

「…素直?私が?」

「うん。思ってる事ちゃんと言ってくれるもん。」


言い方は冷たいけど、ちゃんと自分の意見を言ってくれる。


元カノとかは遠慮して意見とかぶつけてくんなかったし。


凜ちゃんみたいにちゃんと言ってくれる子の方が、俺には合うみたい。

⏰:08/12/12 13:43 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#270 [ゆーちん]
「そんなの褒められたの初めて。」

「初めて?」

「初めて。」

「俺も初めて。初めてだらけだね、俺ら。」

「そうだね。」


少しだけ凜に近寄ると触れている右半身が熱く思えた。


人肌の温かさと、緊張の熱さ。

⏰:08/12/12 13:44 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


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