冷たい彼女
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#355 [ゆーちん]
美帆はずっと『うん。』とか『それで?』とか、所々に相槌を入れながら聞いてくれた。
「どうしていいかわかんねぇんだわ。」
そんな相槌しか打たなかった美帆は、いきなり強い目で問い掛けた。
:08/12/13 16:20 :SH901iC :1vm0Oe8g
#356 [ゆーちん]
「心の考えてるのもあながち間違ってないよ。凜の事を考えてあげてるのって凄い良い事だもん。でもさ!」
美帆は一呼吸置いてから言った。
「うちらまだ中学生だよ?」
当たり前の言葉を、すごく真剣に言った美帆から、目が離せられなかった。
:08/12/13 16:20 :SH901iC :1vm0Oe8g
#357 [ゆーちん]
「将来の事もいいけど、大事なのは今じゃん。何カッコつけてんの。あの凜に、寂しいとか行くなって言って欲しかったって言われたんだよ?情けなくないの?」
情けないよ。
そんなのわかってる。
「でもさ…」
:08/12/13 16:21 :SH901iC :1vm0Oe8g
#358 [ゆーちん]
「でもって何?中学生らしい恋愛すればいいじゃん。大人ぶるのは外見だけで充分だよ。所詮、中身はまだ15のガキなんだから思った事を素直に伝えればいいんだって。いつからそんな臆病になっちゃったの?」
美帆の言葉に殴られた俺。
何も言えなかった。
:08/12/13 16:22 :SH901iC :1vm0Oe8g
#359 [ゆーちん]
「寂しいって思ってるなら、寂しいって言えばいいじゃん。心は凜の素直なところを好きになったんでしょ?だったら心も、素直なところを好きになってもらわないと。」
「…ごもっとも。」
:08/12/13 16:23 :SH901iC :1vm0Oe8g
#360 [ゆーちん]
何を恐れていたのだろう。
俺が好きなのは凜ちゃん。
凜に寂しい思いをさせて、何が凜の将来の邪魔をしたくないだよ。
カッコつけてただけ。
知ってる。
「美帆。」
「何。」
「ほんっとありがと。お前に殴られて目が覚めた。」
:08/12/13 16:24 :SH901iC :1vm0Oe8g
#361 [ゆーちん]
「殴った覚えないし。」
「とにかくサンキュな!」
「単純でバカなのが心なんだから、変にカッコつけなくていいんだよ。凜はそんなバカな心が好きなんだから。」
「おい、こら、美帆。そんな嬉しい言葉をサラッと言うな。泣きそうだ。」
:08/12/13 16:24 :SH901iC :1vm0Oe8g
#362 [ゆーちん]
美帆は『やっぱバカだ。』と笑ってから、俺の背中を手の平で叩いた。
叩いたっつーか殴った。
すげぇ痛かったもん。
喝ってやつだな。
効いたぞ!
お前の喝。
菊地家から、可愛い袋を持って飛び出した。
:08/12/13 16:25 :SH901iC :1vm0Oe8g
#363 [ゆーちん]
真っ暗になってしまった道を俺は走った。
冷たい風が俺の顔を引き攣らせていた。
「こんばんは!」
杉浦家の玄関を開けるやいなや、俺は居間にいるじいちゃんばあちゃんに『凜ちゃんいる?』と聞いた。
「部屋だよ。」
「お邪魔するね!」
「あぁ…うん。」
:08/12/13 16:26 :SH901iC :1vm0Oe8g
#364 [ゆーちん]
突然の来客にも驚かず、じいちゃんばあちゃんはテレビを見ていた。
俺は階段を上り、ノックもせずに凜の部屋に入った。
「…心。」
じいちゃんばあちゃんとは違い、凜はすごく驚いていた。
温かい部屋の中は、冷えた体を一気に暖めてくれた。
:08/12/13 16:27 :SH901iC :1vm0Oe8g
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