冷たい彼女
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#360 [ゆーちん]
何を恐れていたのだろう。

俺が好きなのは凜ちゃん。


凜に寂しい思いをさせて、何が凜の将来の邪魔をしたくないだよ。


カッコつけてただけ。


知ってる。


「美帆。」

「何。」

「ほんっとありがと。お前に殴られて目が覚めた。」

⏰:08/12/13 16:24 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#361 [ゆーちん]
「殴った覚えないし。」

「とにかくサンキュな!」

「単純でバカなのが心なんだから、変にカッコつけなくていいんだよ。凜はそんなバカな心が好きなんだから。」

「おい、こら、美帆。そんな嬉しい言葉をサラッと言うな。泣きそうだ。」

⏰:08/12/13 16:24 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#362 [ゆーちん]
美帆は『やっぱバカだ。』と笑ってから、俺の背中を手の平で叩いた。


叩いたっつーか殴った。


すげぇ痛かったもん。


喝ってやつだな。


効いたぞ!


お前の喝。


菊地家から、可愛い袋を持って飛び出した。

⏰:08/12/13 16:25 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#363 [ゆーちん]
真っ暗になってしまった道を俺は走った。


冷たい風が俺の顔を引き攣らせていた。


「こんばんは!」


杉浦家の玄関を開けるやいなや、俺は居間にいるじいちゃんばあちゃんに『凜ちゃんいる?』と聞いた。


「部屋だよ。」

「お邪魔するね!」

「あぁ…うん。」

⏰:08/12/13 16:26 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#364 [ゆーちん]
突然の来客にも驚かず、じいちゃんばあちゃんはテレビを見ていた。


俺は階段を上り、ノックもせずに凜の部屋に入った。


「…心。」


じいちゃんばあちゃんとは違い、凜はすごく驚いていた。


温かい部屋の中は、冷えた体を一気に暖めてくれた。

⏰:08/12/13 16:27 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#365 [ゆーちん]
「寂しいから行かないで!」

「…。」


俺の言った意味がすぐにわかったらしく、凜は切なげな顔をした。


「ごめんね。カッコつけて、わざと言わなかったんだ。凜ちゃんの将来の邪魔したくなくて寂しいとか行かないでって言わなかったの。」

⏰:08/12/13 16:28 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#366 [ゆーちん]
凜は眉を下げたまま笑った。


「何でカッコなんかつけんの。私はバカな心が好きなのに。」


美帆から聞いてた言葉は、凜から聞くとまた一味違った嬉しさが込み上げた。


凜は立ち上がり、俺の傍に来て、指先で鼻を触った。

⏰:08/12/13 16:29 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#367 [ゆーちん]
「こんな風に鼻真っ赤にして、いきなり部屋に上がり込んでくる心が好きなんだよ。」


体は勝手に動いてた。


小さな凜を抱きしめると、すっげぇ温かかった。


「好き過ぎて泣きそう。」

「泣いていいよ。」


そう言ってくれたけど、凜の許可が降りる前に涙は零れていたのは…内緒にしておこう。

⏰:08/12/13 16:29 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#368 [ゆーちん]
「おいてきぼりにされた時、マジで別れちゃうのかと思った。」

「それは私のセリフ。引き止めてくんないし、心の気持ちは冷めたんだって悲しくなった。」

「冷めるわけないから。」

「そりゃどーも。」


初めてキスした時のように、唇が触れた瞬間から俺の涙は止まった。

⏰:08/12/13 16:33 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#369 [ゆーちん]
「私が出てったら寂しい?」

「寂しい。」

「行かないで欲しい?」

「行かないで。」

「本音?」

「うん。」

「ふーん。」


でも凜は行っちゃうんだ。


泣いても喚いても、それは変えられない。

⏰:08/12/13 16:34 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


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