冷たい彼女
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#364 [ゆーちん]
突然の来客にも驚かず、じいちゃんばあちゃんはテレビを見ていた。


俺は階段を上り、ノックもせずに凜の部屋に入った。


「…心。」


じいちゃんばあちゃんとは違い、凜はすごく驚いていた。


温かい部屋の中は、冷えた体を一気に暖めてくれた。

⏰:08/12/13 16:27 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#365 [ゆーちん]
「寂しいから行かないで!」

「…。」


俺の言った意味がすぐにわかったらしく、凜は切なげな顔をした。


「ごめんね。カッコつけて、わざと言わなかったんだ。凜ちゃんの将来の邪魔したくなくて寂しいとか行かないでって言わなかったの。」

⏰:08/12/13 16:28 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#366 [ゆーちん]
凜は眉を下げたまま笑った。


「何でカッコなんかつけんの。私はバカな心が好きなのに。」


美帆から聞いてた言葉は、凜から聞くとまた一味違った嬉しさが込み上げた。


凜は立ち上がり、俺の傍に来て、指先で鼻を触った。

⏰:08/12/13 16:29 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#367 [ゆーちん]
「こんな風に鼻真っ赤にして、いきなり部屋に上がり込んでくる心が好きなんだよ。」


体は勝手に動いてた。


小さな凜を抱きしめると、すっげぇ温かかった。


「好き過ぎて泣きそう。」

「泣いていいよ。」


そう言ってくれたけど、凜の許可が降りる前に涙は零れていたのは…内緒にしておこう。

⏰:08/12/13 16:29 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#368 [ゆーちん]
「おいてきぼりにされた時、マジで別れちゃうのかと思った。」

「それは私のセリフ。引き止めてくんないし、心の気持ちは冷めたんだって悲しくなった。」

「冷めるわけないから。」

「そりゃどーも。」


初めてキスした時のように、唇が触れた瞬間から俺の涙は止まった。

⏰:08/12/13 16:33 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#369 [ゆーちん]
「私が出てったら寂しい?」

「寂しい。」

「行かないで欲しい?」

「行かないで。」

「本音?」

「うん。」

「ふーん。」


でも凜は行っちゃうんだ。


泣いても喚いても、それは変えられない。

⏰:08/12/13 16:34 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#370 [ゆーちん]
「愛されてるって知りたかったの。寂しいから行くなって言ってもらえると、安心して行けるから。」

「ごめんね。」

「もう大丈夫。泣いてる心見て安心しない方がおかしいもん。」

「愛してるよ?」

「…知ってる。」

「凜ちゃんは?」

⏰:08/12/13 16:35 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#371 [ゆーちん]
「さぁ、どうだろ。秘密。」


こうやってすぐに茶を濁すところも好き。


照れ屋なのか冷たいのかわかんないけど、そこが好き。


「一人暮らしは寂しいから、頻繁に現れてね?」

「毎日現れる予定だけど。」

「それは迷惑だから嫌。」


ほら、俺はそういうとこが好きなんだ。

⏰:08/12/13 16:35 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#372 [ゆーちん]
バレンタインに互いの気持ちがわかってよかった。


だって、その約2週間後の今日には中学校を卒業だもん。


早かったな。


この3年間。


つーか、この1年間もかなり早かった。


凜が来てから毎日毎日、24時間じゃ足りないくらい充実していた。

⏰:08/12/13 16:38 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


#373 [ゆーちん]
辛い事もあったけど、楽しい事の方が多かったな。


…なんて考えていると卒業式は終わっていた。


香奈、澪、大輝は笑えるぐらい泣いていた。


美帆や千夏、ほとんどの奴は感動でチラリと涙を見せたり目を潤ませていた。


俺もその一人。

⏰:08/12/13 16:39 📱:SH901iC 🆔:1vm0Oe8g


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