冷たい彼女
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#60 [ゆーちん]
素晴らしい進歩。
初デート。
初横並び歩き。
テンション上げずにいられないでしょ!
「手ぇ繋いでいい?」
そう、勢いでお願いしてみた。
「やだ。」
…無理でした。
うん、最初から欲張っちゃダメだよねー。
:08/12/11 21:33 :SH901iC :uyR.lwfs
#61 [ゆーちん]
「ごめんなさい。」
とりあえず隣で歩ける事に感謝。
小さな凜と並んで歩ける事が幸せだった。
俺の家につき、自転車を出して、凜を後ろに座らせた。
「2ケツとか久しぶりだ。」
「どうせ男しか乗せた事ないんでしょ。」
:08/12/11 21:34 :SH901iC :uyR.lwfs
#62 [ゆーちん]
凜の言葉のナイフにグサグサと刺されながら自転車をこいだ。
「そんな事ないもーん。」
「あっそ。」
「でも、9割が男だね。」
「やっぱり。」
「残りの1割は女からのパシリですよ。」
「ダッセェ。」
風を切って走る自転車。
:08/12/11 21:35 :SH901iC :uyR.lwfs
#63 [ゆーちん]
凜ちゃんの髪やワンピースは、さぞなびいているでしょう。
…全く見えないけど。
1軒1軒、島の案内をしていく。
抜け道や近道も教えてあげる。
あの家のじいちゃんはどうだとか、この家のばあちゃんはこうだとか。
凜は一生懸命、俺の話に耳を傾けてくれていた。
:08/12/11 21:35 :SH901iC :uyR.lwfs
#64 [ゆーちん]
お昼は、島で唯一の食堂である【トメ食堂】食べた。
なぜ【トメ食堂】かと言うと、トメと言う名前のばあちゃんが営業しているから。
トメばあちゃんは島で1番の料理人だと俺は思う。
食べ終えると、また自転車の旅が始まる。
なるべく日影を走れという凜の指示に、俺は素直に従った。
:08/12/11 21:36 :SH901iC :uyR.lwfs
#65 [ゆーちん]
汗が流れる額。
凜のために流す汗は苦痛ではなかった。
日が暮れると、凜は言った。
「あんたがこの島で1番気に入ってる場所教えて。」
「1番?」
「そう。」
「ガッテン承知!」
:08/12/11 21:36 :SH901iC :uyR.lwfs
#66 [ゆーちん]
俺は涼しくなった風を切りながら、一生懸命自転車をこいだ。
この島で1番の好きな場所。
そんなのあそこ以外にないだろ。
ハンドルを握る俺の手は、慣れたようにあそこに向かっていた。
「凜ちゃーん!」
「何?」
「ここー!」
:08/12/11 21:37 :SH901iC :uyR.lwfs
#67 [ゆーちん]
坂を下ると、海が広がる。
俺は海が1番好きだ。
自転車を止めると、凜は後ろから降りて砂浜を歩いた。
髪とワンピースが揺れる。
ヤバイ…惚れ直した。
凜の姿があまりにも絵になるので、ついつい見取れてしまった。
:08/12/11 21:37 :SH901iC :uyR.lwfs
#68 [ゆーちん]
「ねぇ!」
「あ、うん、何?」
「何じゃないよ。ぼーっとしちゃってさ。」
「ごめん。どうしたの?」
「あんた正解。今日回った場所で、ここが1番いいよ。私の1番もここだ。」
凜と俺の1番が同じなのは、とても嬉しい事だ。
「本当?マジで?」
:08/12/11 21:38 :SH901iC :uyR.lwfs
#69 [ゆーちん]
「うん。この島の海は特別綺麗。」
「でしょ?俺もこの島の海が1番好き〜。」
夕日は沈んだ。
薄暗い海辺。
凜は言った。
「今日はありがと。あんたを彼氏にしてよかった。」
:08/12/11 21:39 :SH901iC :uyR.lwfs
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