冷たい彼女
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#64 [ゆーちん]
お昼は、島で唯一の食堂である【トメ食堂】食べた。
なぜ【トメ食堂】かと言うと、トメと言う名前のばあちゃんが営業しているから。
トメばあちゃんは島で1番の料理人だと俺は思う。
食べ終えると、また自転車の旅が始まる。
なるべく日影を走れという凜の指示に、俺は素直に従った。
:08/12/11 21:36 :SH901iC :uyR.lwfs
#65 [ゆーちん]
汗が流れる額。
凜のために流す汗は苦痛ではなかった。
日が暮れると、凜は言った。
「あんたがこの島で1番気に入ってる場所教えて。」
「1番?」
「そう。」
「ガッテン承知!」
:08/12/11 21:36 :SH901iC :uyR.lwfs
#66 [ゆーちん]
俺は涼しくなった風を切りながら、一生懸命自転車をこいだ。
この島で1番の好きな場所。
そんなのあそこ以外にないだろ。
ハンドルを握る俺の手は、慣れたようにあそこに向かっていた。
「凜ちゃーん!」
「何?」
「ここー!」
:08/12/11 21:37 :SH901iC :uyR.lwfs
#67 [ゆーちん]
坂を下ると、海が広がる。
俺は海が1番好きだ。
自転車を止めると、凜は後ろから降りて砂浜を歩いた。
髪とワンピースが揺れる。
ヤバイ…惚れ直した。
凜の姿があまりにも絵になるので、ついつい見取れてしまった。
:08/12/11 21:37 :SH901iC :uyR.lwfs
#68 [ゆーちん]
「ねぇ!」
「あ、うん、何?」
「何じゃないよ。ぼーっとしちゃってさ。」
「ごめん。どうしたの?」
「あんた正解。今日回った場所で、ここが1番いいよ。私の1番もここだ。」
凜と俺の1番が同じなのは、とても嬉しい事だ。
「本当?マジで?」
:08/12/11 21:38 :SH901iC :uyR.lwfs
#69 [ゆーちん]
「うん。この島の海は特別綺麗。」
「でしょ?俺もこの島の海が1番好き〜。」
夕日は沈んだ。
薄暗い海辺。
凜は言った。
「今日はありがと。あんたを彼氏にしてよかった。」
:08/12/11 21:39 :SH901iC :uyR.lwfs
#70 [ゆーちん]
笑顔は見せてくれなかったものの、その言葉はとても嬉しかった。
凜ちゃんは俺に気などない。
そんなのわかっている。
俺を足変わりにするのも、何の問題もない。
:08/12/11 21:39 :SH901iC :uyR.lwfs
#71 [ゆーちん]
一緒にいてくれるだけで俺は嬉しいのに、『ありがとう。』と言われるのは、やっぱり嬉しい。
前に近道を教えた時も言ってくれたっけ。
冷たい彼女だけど、ありがとうを言える人は本当は心が温かいんだよ。
島のばあちゃんがよく言ってる。
:08/12/11 21:39 :SH901iC :uyR.lwfs
#72 [ゆーちん]
「明日も付き合ってくれるんでしょ?」
…明日?
明日もあなたの隣を歩けるんですか!?
「もーちろんっ!明日でも明後日でもいつでも付き合うよ!」
「…。」
テンションが上がりすぎだと冷ややかに目で訴える凜ちゃん。
:08/12/11 21:40 :SH901iC :uyR.lwfs
#73 [ゆーちん]
「どこ行くの?」
「明日は本島で買い物がしたいから9時に迎えに来て。」
「わかった!9時ね!じゃあ9時半のフェリーだね。」
「…明日は今日と違って、遅刻は許されないからね。」
「はい、わかってます。」
こうして明日のデートの約束をして俺らは海を後にした。
:08/12/11 21:41 :SH901iC :uyR.lwfs
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