闇の中の光
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#108 [ゆーちん]
さすがにこの格好にローファーは合わないでしょ。
ていうか、半殺しされてフラフラだったのに、ちゃっかりローファー履いて出て来た自分が偉いと思った。
…あっ、違う。
自分じゃない。
萌子が、だ。
「ほれ。おっきいかもしんないけど我慢しろ。」
:08/12/30 17:59
:SH901iC
:Z9srDs2E
#109 [ゆーちん]
哲夫が靴下を貸してくれたので、私は座って履いた。
予想通り、めちゃめちゃ大きい。
「行くぞ。」
靴も大きい。
歩きにくい。
「何ちんたら歩いてんだよ、もう。」
そう言って哲夫に手を引かれた。
おっきな手だった。
:08/12/30 17:59
:SH901iC
:Z9srDs2E
#110 [ゆーちん]
康孝の車に乗り込むと、勢いよく発車した。
…やけに、うるさい、この車。
流れている音楽も、デカい音だし英語だしで何言ってるかわかんないし、何より車自体の音がうるさかった。
「ごめんね、うっさいだろ。」
「うん。」
:08/12/30 18:00
:SH901iC
:Z9srDs2E
#111 [ゆーちん]
「いじりすぎなんだよ、康の車は。」
「いじり?」
「改造っつーの?マフラーとかってわかる?」
「首に巻く?」
「あぁ、わかんないか。じゃあいいや。」
首に巻くマフラーじゃないの?
意味不明。
午後3時、そんな意味不明な車は街を駆け抜けて行く。
:08/12/30 18:01
:SH901iC
:Z9srDs2E
#112 [ゆーちん]
窓から見る景色は見た事のない景色だった。
「ここ、どこ?」
「あ?」
「見た事ない街。」
窓の外を眺める私に、哲夫は言った。
:08/12/30 18:01
:SH901iC
:Z9srDs2E
#113 [ゆーちん]
「シホはこの街で生まれたんだから、この街からずっと出るなよ。」
「…うん。」
私の知らない街。
いや、これが私の街。
萌子がいた街と、私のこの街はあまりにも違っていて…何だか頭が痛くなった。
:08/12/30 18:02
:SH901iC
:Z9srDs2E
#114 [ゆーちん]
何軒もの店を回って、大量の下着や洋服、化粧品などを買ってもらった。
帽子、アクセサリー、靴、歯ブラシ、シャンプーにリンス。
最後は携帯電話まで買ってもらった。
信じられない。
この人の金の使い方、ちょっと引く。
:08/12/30 18:03
:SH901iC
:Z9srDs2E
#115 [ゆーちん]
全部カードで、カードがだめなら絶対一万円を渡す。
お釣りはなぜか受けとらず、隣にいた康孝が受け取って、小さな袋に入れていた。
「こんなもんか?」
「え?」
「何か欲しいものあるか?」
私は首を横に振った。
これ以上、もう何もいらない。
:08/12/30 18:04
:SH901iC
:Z9srDs2E
#116 [ゆーちん]
「まぁまたいるものあれば明日来よう。帰るぞ。」
再び康孝の運転する車に戻り、うるさく唸りながら車は走る。
外はぼんやり暗くなっている。
「テッちゃん、このまま集会直行しない?」
「あぁー、いいわ。歩いて行く。荷物片付けないと。」
:08/12/30 18:05
:SH901iC
:Z9srDs2E
#117 [ゆーちん]
「手伝おうか?」
「いや、いい。康は先に行ってて。」
「ほーい。」
私と哲夫とたくさんの荷物が車から降りると、康孝の車は走り去った。
「さぁ〜!気合い入れて、片付けるぞ!」
:08/12/30 18:05
:SH901iC
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