闇の中の光
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#142 [ゆーちん]
だってさ、笑ってくれたから。


父は私が料理を作っても、1ミリ足りとも笑わなかった。


苦痛だった。


もう…忘れたい。


忘れよう。


だって萌子は死んだんだから。


友達や彼氏、家族はきっと萌子が死んだって悲しまない。

⏰:09/01/01 11:02 📱:SH901iC 🆔:XAv2cR7M


#143 [ゆーちん]
「出来た。」


大きなお好み焼きをお皿に盛って、テーブルに置いた。


湯気が立ち上る。


いい匂い。


「美味そっ!まさかの才能だな。」

「哲夫のお箸ってどこにあるの?」

「そんなもんないよ。いつも割り箸。」

「そうなんだ。」

⏰:09/01/01 15:26 📱:SH901iC 🆔:XAv2cR7M


#144 [ゆーちん]
哲夫がキッチンの棚から割り箸を2つ取り出した。


あそこが割り箸入れか。


覚えておかないと。


「はい、いただきます!」

「…いただきます。」


哲夫は大きく切り取ったお好み焼きを頬張った。

⏰:09/01/01 15:27 📱:SH901iC 🆔:XAv2cR7M


#145 [ゆーちん]
「んー!うめぇ!」


素直に嬉しかった。


自分が作ったものを褒めてもらえるのは嬉しい事なんだ。


「よかった。」

「酢豚とかも作れんの?」

「うん。」

「グラタンも?カツ丼も?エビチリも?」

⏰:09/01/01 15:28 📱:SH901iC 🆔:XAv2cR7M


#146 [ゆーちん]
「…たぶん、作れる。」

「すげぇ。和洋中パーフェクトなんだな。いいペット捕まえたわ〜。」


笑いながら哲夫はお好み焼きをどんどん食べて行く。


私も食べた。


うん、お好み焼きだ。


自分が作ったものはなぜか美味しいと思わない。


不思議。

⏰:09/01/01 15:28 📱:SH901iC 🆔:XAv2cR7M


#147 [ゆーちん]
シホになって初めての食事が済み、片付けに専念した。


買い過ぎたかな、と自分でもわかっているらしく、反省しながら片付ける哲夫。


「テッちゃん。」

「はい。」

「哲夫。」

「はい。」

「テツ。」

「はい。」

「ご主人様。」

「はぁ?何言ってんだ?」

⏰:09/01/01 16:10 📱:SH901iC 🆔:XAv2cR7M


#148 [ゆーちん]
鼻で笑われた。


「どの呼び方がいい?」

「…ご主人様っての、なかなか気分いいな。」


不適な笑み。


「それ以外。」

「じゃあ候補に挙げるな。呼び方なんか何でもいいよ。」

⏰:09/01/01 16:11 📱:SH901iC 🆔:XAv2cR7M


#149 [ゆーちん]
何でもいい、が1番困る。


でも、本人が何でもいいって言ってるんだから好きに呼ぼう。


「哲夫。」

「結局その呼び方かよ。」

「トイレどこ?」


シホになって初めてのトイレ。


「しょんべんずっと我慢してたの?」

⏰:09/01/01 16:12 📱:SH901iC 🆔:XAv2cR7M


#150 [ゆーちん]
「ううん。我慢なんかしてない。今初めてしたくなった。」

「どうなってんだ、お前の体は。」


笑いながら哲夫に案内されたトイレに入ると、目を疑うように輝く便器があった。


初めて済ませたトイレから出て、哲夫に聞いた。

⏰:09/01/01 16:12 📱:SH901iC 🆔:XAv2cR7M


#151 [ゆーちん]
「掃除とか自分でするの?」

「全然しない。」

「何であんなにトイレ綺麗なの。」

「誰かが掃除に来てるから。」

「誰かが?」

「俺って、周りから尊敬されてるんだって。だから、うちのチームの新人は俺の身の回りの世話を熟してこそ、初めてうちのチームに入れるってルールがあるらしくて。」

⏰:09/01/01 16:14 📱:SH901iC 🆔:XAv2cR7M


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