闇の中の光
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#193 [ゆーちん]
康孝の大きな声が、エンジン音と奏であう。
次々に手が挙がった。
地面に座り込んでいるみんなと対して、突っ立ってんのは私と哲夫と康孝だけ。
康孝が手を上げた男を指名して、何の報告かわからないけど指名された男は声を張り上げていた。
:09/01/01 20:36 :SH901iC :XAv2cR7M
#194 [ゆーちん]
「座らないの?」
哲夫に小声で聞くと『お前は座ってていいよ。』と言った。
「哲夫は?」
「哲夫様はリーダーだから座らない。」
「ふーん。康孝は?」
「副リーダーちゃんだから座らない。」
あぁ、そうなんだ。
そう思いながら、笑ってる哲夫の隣に座り込んだ。
:09/01/01 20:38 :SH901iC :XAv2cR7M
#195 [ゆーちん]
その後の【集会】と呼ばれるものは退屈だった。
どこの地区で喧嘩があって警察がどうとか、新入りの紹介とか、そんなもの私には関係なかった。
しばらくすると【集会】はお開き。
みんな、またそれぞれに騒ぎ始めた。
「テツさん、ちょっと来て下さーい。」
哲夫が呼ばれた。
:09/01/01 20:39 :SH901iC :XAv2cR7M
#196 [ゆーちん]
「シホ、ちょっと待ってて。暇なら適当に康孝に遊んでもらってて。」
「大丈夫、待ってる。」
「ん。」
小さく笑い、哲夫は呼ばれた方に歩いて行った。
哲夫の後ろ姿を見つめる。
「シホちゃん。」
:09/01/01 20:39 :SH901iC :XAv2cR7M
#197 [ゆーちん]
哲夫が呼ばれた人に笑いかけているのを見た瞬間、私は隣から名前を呼ばれた。
「…あ、はい。」
まだ慣れない名前。
振り向くと康孝だった。
「賑やかだろ?」
「…うん。」
:09/01/01 20:40 :SH901iC :XAv2cR7M
#198 [ゆーちん]
「ここにいるのはまだ全員じゃねぇよ。まだ他にもいるんだ。その全員をまとめてんのが哲夫。あいつはすげぇよ、マジで。」
見渡すと、本当にたくさんの人がいる。
「ヤッちゃんも管理職なんでしょ?すごいじゃない。」
「俺なんてまだまだ。哲夫がいないと何もできないし。」
:09/01/01 20:41 :SH901iC :XAv2cR7M
#199 [ゆーちん]
哲夫がどれほどすごい人なのか、やっぱりまだよくわかんないな。
こんなたくさんの人をまとめているのは大変だろうけど、なぜ哲夫がリーダーなのかとか…そんなの全然わかんない。
「ヤッちゃん。」
「ん?」
「楽しい?」
「何が?」
:09/01/01 20:48 :SH901iC :XAv2cR7M
#200 [ゆーちん]
「ここにいて。」
「ここ…って集会?」
「こんな風に集まって、喋ったり騒いだり笑ったり…みんな楽しいのかな?」
「そりゃ楽しいっしょ。だから来てんだし。」
「何が楽しいんだろ。」
「んー、仲間に会えるからじゃね?」
「仲間?」
:09/01/01 20:49 :SH901iC :XAv2cR7M
#201 [ゆーちん]
康孝は煙草に火をつけた。
「ここならきっとシホちゃんにも仲間が出来ると思うよ。」
「上辺だけの仲間じゃなくって本当の仲間がいい。」
「おう、できるできる。そもそも上辺だけの奴なんて仲間って言わないからさ。」
:09/01/01 20:50 :SH901iC :XAv2cR7M
#202 [ゆーちん]
康孝の言葉に励まされたのは予想外だった。
ちょっとバカっぽいのに、なぜか私に勇気をくれた。
萌子の時には作れなかった本当の仲間を作りたい。
そう思ってしまうのは贅沢なのかな?
いいんだよね、私、普通の人生を過ごしても。
:09/01/01 20:50 :SH901iC :XAv2cR7M
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