闇の中の光
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#240 [ゆーちん]
「長居しすぎた。俺いつもはもうちょっと早く帰るんだよ。」
「そうなんだ。」
「シホは寝てるから知らないよな、俺が帰って来る時間なんて。」
「うん、知らない。」
なんて事を話しながら、私たちは眠りについた。
:09/01/03 21:53 :SH901iC :diob1dTs
#241 [ゆーちん]
私が2回目の集会に行ってから、また一週間が経った。
最近、ようやく生活リズムが出来てきた。
朝、哲夫を起こさないようにベットから抜け出し、洗濯や掃除、昼食の準備をする。
:09/01/03 21:54 :SH901iC :diob1dTs
#242 [ゆーちん]
哲夫が起きてくると一緒にお風呂へ入る。
お風呂から出て、遅めの昼食。
昼食を食べ終えてからの事は、日によってバラバラ。
のんびりと部屋で過ごす事もあれば、買い物行く事もある。
そして夕方、哲夫は私の頬にキスをしてから集会に出掛ける。
私は行かない。
:09/01/03 21:54 :SH901iC :diob1dTs
#243 [ゆーちん]
集会に行かない理由は、特になかった。
この前、私に話し掛けてくれた人たちとも話したいとは思うけど…まだ怖かったんだ。
仲良くなればなるほど、上辺だけだってわかった時の傷はもう付けたくない。
あそこにいるみんなは、上辺だけで近付いてるんじゃないって言ってくれるかもしんない。
:09/01/03 21:56 :SH901iC :diob1dTs
#244 [ゆーちん]
有り難いんだけど、やっぱりまだ怖いんだ。
だから気分がいい時だけ、集会に行く事にした。
哲夫が集会に行き、一人になると残りの家事を済ます。
で、眠くなれば寝る。
起きると哲夫に抱きしめられている。
そんな毎日だった。
:09/01/03 21:56 :SH901iC :diob1dTs
#245 [ゆーちん]
ある朝…じゃなくて、お昼か。
眠そうな顔で起きてきた哲夫は、煙草を吸いながら言った。
「望実がシホに会いたいってさ。」
「…のんちゃん?」
哲夫が言う【望実】と、私が言う【のんちゃん】は同一人物。
:09/01/03 21:58 :SH901iC :diob1dTs
#246 [ゆーちん]
【望実】のあだ名が【のんちゃん】ってわけ。
この前、私に初めて話し掛けてくれた子。
私より2つ年上で、エクボの可愛い女の子。
もしかしたら…仲良くなれるかもしれない子。
「また調子いい時でいいからさ、一度顔出してやったら?」
「うん、そうだね。」
:09/01/03 21:59 :SH901iC :diob1dTs
#247 [ゆーちん]
煙草を消し、立ち上がる時に私の頭を撫でてくれた哲夫。
「慌てんな。」
「…うん。」
わかってる。
慌ててなんかない。
怖くて、一歩足りとも踏み出せないだけ。
だけどそれじゃだめなんだ。
:09/01/03 22:00 :SH901iC :diob1dTs
#248 [ゆーちん]
踏み出さないと始まんない。
「風呂入るか。」
一日の始まりはお風呂から。
今日も哲夫は、後ろから抱きしめてくれる。
「哲夫。」
「何?」
「今日行ってもいい?」
「集会?」
「うん。」
のんちゃんの、私に会いたいと言ってくれた言葉をきっかけに、一歩踏み出そうと思う。
:09/01/03 22:00 :SH901iC :diob1dTs
#249 [ゆーちん]
哲夫は快く了解してくれた。
お風呂から上がり、出掛ける準備をする。
髪形、化粧、服装。
みるみる変身していく自分を見るのが楽しかった。
落ち着いた色の髪と、ナチュラルなメイク、それに派手すぎない服装。
何だかんだで私はシホを気に入っていた。
:09/01/03 22:01 :SH901iC :diob1dTs
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