闇の中の光
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#265 [ゆーちん]
「お疲れ様〜。」
「今日も寒いね!」
相変わらず、私は自分の事をあまり話さないで、みんなの話を聞くばかり。
だけど楽しかった。
笑うと、温かかったから。
これが仲間なのかな。
だとしたら、萌子の友達ごっこは本当にくだらないものだった。
信じていいんだよね、のんちゃん達のこと。
それに…テツの事。
:09/01/04 22:20 :SH901iC :bKxDy5AQ
#266 [ゆーちん]
「シホ。」
「ん?」
日付が変わる30分前、私たちが集まる場所に哲夫が来た。
みんな、急に畏まっちゃって…何だか笑える。
「お楽しみ中、悪いんだけど俺そろそろ帰りたい。お前まだいるか?」
珍しい。
ここ最近は最後まで残ってたのに。
:09/01/04 22:21 :SH901iC :bKxDy5AQ
#267 [ゆーちん]
「ううん、帰る。」
「いいのか?居たい時間まで居れば良いよ。帰りは康孝にでも頼めばいいし。」
私は首を振り、哲夫の傍に駆け寄った。
「じゃあね。」
「バイバーイ!」
みんなと別れ、いつものようにチーム全員が哲夫に挨拶。
:09/01/04 22:21 :SH901iC :bKxDy5AQ
#268 [ゆーちん]
見慣れた儀式だ。
それが終わると、私の肩を抱いて歩き出す。
なぜ哲夫が早く帰りたがったのか、それは家についてからわかった事だった。
:09/01/04 22:22 :SH901iC :bKxDy5AQ
#269 [ゆーちん]
ベッドに倒れ込んだ哲夫。
「シホ…薬箱取って。」
「薬箱?お腹でも痛い?」
すっかり慣れたこの部屋から、私は薬箱を取り出した。
絆創膏、消毒液、ガーゼ、うがい薬…など、たくさんの薬品が詰まっている。
新人が用意した物だそうだ。
:09/01/04 23:24 :SH901iC :bKxDy5AQ
#270 [ゆーちん]
「哲夫?」
「シホ…あのさ…」
哲夫の様子がおかしいと気付いたのは、ちょうどこの時だった。
日付がもうすぐ変わる。
「えっ、テツ?」
「風邪…薬…出して…」
:09/01/04 23:25 :SH901iC :bKxDy5AQ
#271 [ゆーちん]
いつの間にこんなに荒い息になったんだろう。
苦しそうに呼吸をする哲夫に全く気付かなかった。
それに、汗もひどい。
「哲夫!?」
「大丈夫だから…薬、探して…」
:09/01/04 23:25 :SH901iC :bKxDy5AQ
#272 [ゆーちん]
かなり焦った。
こんな弱った哲夫なんか見た事ないから。
恐かった。
哲夫が死ぬんじゃないか、って。
いなくなるんじゃないか、って。
また一人ぼっちになるんじゃないか、って。
:09/01/04 23:27 :SH901iC :bKxDy5AQ
#273 [ゆーちん]
必死に探した。
頭痛薬、腹痛の薬、胃薬、花粉症の薬…
手に取るたびに欲しい薬以外のものが現れる。
「あ、あった!」
風邪薬は1番底にあった。
「ちょうだい…」
「うん。あ、待って!」
「え?」
「…どうしよ。使用期限過ぎてる。」
:09/01/04 23:28 :SH901iC :bKxDy5AQ
#274 [ゆーちん]
2年以上も前の薬。
どうして点検してくんなかったんだろう、と少し前までこの部屋の掃除などをしていた新人に腹が立った。
そんなの私のせいでもあるのにね。
「無いよりマシだ…ちょうだい…」
「でも、余計に悪化するといけないし。」
:09/01/04 23:28 :SH901iC :bKxDy5AQ
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