闇の中の光
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#280 [ゆーちん]
人を介抱するなんて初めてだから、服を着替えさすのは私にとって大仕事。
やっと着替えが終わった頃には、薬が効いてきたらしく哲夫は眠ってしまった。
このまま私も寝るってわけにはいかない。
哲夫の、看病しなくちゃ。
:09/01/04 23:33 :SH901iC :bKxDy5AQ
#281 [ゆーちん]
テレビや漫画の見よう見真似。
冷たいタオルをおでこに乗せて、部屋を温かくする。
哲夫を起こさないように体温計で熱を計ると、38.9度もあった。
もっと汗をかかせなきゃ。
でも、もし風邪じゃなかったら…
もし、この看病の方法が間違ってたら…
:09/01/04 23:34 :SH901iC :bKxDy5AQ
#282 [ゆーちん]
哲夫、死なないで。
そんな事ばかり願っていた。
「テツ…」
とりあえず、私にできる事をしよう。
こまめに冷たいタオルに変えて、温かい格好をさせれば大丈夫だよ。
萌子は、そうしてきた。
体調を崩したら、自分で自分を看病した。
:09/01/04 23:35 :SH901iC :bKxDy5AQ
#283 [ゆーちん]
大丈夫。
私は萌子じゃなくて、シホだけど、きっと大丈夫。
哲夫の看病、できる。
「哲夫、頑張ってね。」
主人の回復を祈るペットは、その夜、一睡もせずに哲夫の看病をした。
:09/01/04 23:35 :SH901iC :bKxDy5AQ
#284 [ゆーちん]
タオルを変えて、汗だくの服も着替えさせて、体温を計る。
鳥が鳴く頃、37.5度まで下がった時には嬉しくて一気に緊張の糸がほどけた。
「よかったー。」
思わず哲夫の頭を撫でた。
綺麗な金色頭。
怖い顔して、寝顔は子供みたいな顔。
:09/01/04 23:36 :SH901iC :bKxDy5AQ
#285 [ゆーちん]
昼前。
普段の起床時間。
哲夫は自然に目を覚ました。
私が作ったお粥を完食し、薬を飲み、もう一度眠ると言った。
「お前、寝た?」
『寝たよ。』と嘘をついた。
一睡もしないで看病してたの、なんて恩着せがましい事は言わない。
:09/01/04 23:37 :SH901iC :bKxDy5AQ
#286 [ゆーちん]
眠る前、熱を計ると37.2度だった。
もう心配はない。
哲夫の回復力に感謝。
「俺、今日の集会は顔出すだけにするわ。」
「うん。」
「シホは居てもいいんだぞ?」
「ううん。私も哲夫と一緒に帰る。」
「そ。」
:09/01/04 23:39 :SH901iC :bKxDy5AQ
#287 [ゆーちん]
再び眠りについた哲夫を見て、一気に安心した。
いつの間にか私はカーペットが敷いてある床で眠っていた。
起こされた時、集会に行く時間の30分前だった。
「哲夫、大丈夫なの?」
「ん。熱下がった。」
体温計をみせてもらうと、36.5度。
:09/01/04 23:41 :SH901iC :bKxDy5AQ
#288 [ゆーちん]
「超〜平熱。」
ピースをして煙草の煙を私にかけた。
「よかった。でも無理しないでね。」
「うん。看病の得意なペットのおかげだな〜。」
「いつから体調悪かったの?」
「…3日前。」
恥ずかしそうに笑った哲夫。
全然、気付かなかったよ。
:09/01/04 23:42 :SH901iC :bKxDy5AQ
#289 [ゆーちん]
「何か体ダルいなーと思っててさ。で、昨日の集会の途中で急に限界迎えて、こりゃダメだって訳でシホ呼びに行って…実はそこから記憶ない。」
「えぇ?重症だよ、それ。」
「所々に記憶はあんだ。俺の財布持って家飛び出したと思ったら、薬持って帰って来たとか。後はタオル変えたり、体温計を脇に突っ込んで来たり。」
:09/01/04 23:43 :SH901iC :bKxDy5AQ
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