闇の中の光
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#330 [ゆーちん]
いざと言う時の男は情けない。


あたふたして…苦しさに襲われている私は、なぜか嬉しくなった。


「哲夫…」

「ほら、呼んでんぞ!」


哲夫と康孝が駆け寄ってくれた。


「シホ、袋どこにあんの?」

⏰:09/01/07 15:23 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#331 [ゆーちん]
哲夫の質問は無視した。


私を覗き込む彼の顔を、必死に手を伸ばし、自分の顔に押し付けた。


「はぁ?」


康孝から見ればいきなりのキス。


私は康孝の目も気にせず、哲夫の口を広げた。

⏰:09/01/07 15:24 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#332 [ゆーちん]
息を送り、また哲夫の口の中の空気を吸う。


哲夫は驚き、唇を離してしまった。


「シホ?いきなりキスとか意味わかんねぇんだけど。しかも舌じゃなくて息入れてくるって、どういう事だよ!」

⏰:09/01/07 15:24 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#333 [ゆーちん]
照れてんのか怒ってんのかわかんないけど、哲夫は笑ってた。


すると康孝はいきなり哲夫の頭を掴み、私に押し当てた。


「わかった!テツ、お前の口が袋変わりだ。キスじゃねぇ。お前が二酸化炭素送り込んでやればいいんだ。」

⏰:09/01/07 15:25 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#334 [ゆーちん]
康孝、バカに見えて頭いいんだ…。


助かった。


哲夫は康孝に言われた通り、息を吐いてくれた。


それは私に二酸化炭素を与えてくれているのと同じで、私を救ってくれる。


しばらくすると涙が止まり、息も落ち着いて来た。

⏰:09/01/07 15:26 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#335 [ゆーちん]
哲夫の口を離し、酸素を吸った。


うん、もう大丈夫かな。


「シホ、もういいのか?」

「うん、ありがと。」


胸を撫で下ろす2人。


「ヤッちゃんも、ありがとうね。」

「どいたま。」


康孝に頭を撫でられ、生きた心地を感じた。

⏰:09/01/07 15:27 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#336 [ゆーちん]
「それにしても康、よく過呼吸なんてわかったな。」

「あぁ、漫画で見たから。」


…なんだ。


漫画が情報源かよ。


でも、その漫画の情報を覚えてくれていたおかげで私は助かった。


ありがとね、康孝。

⏰:09/01/07 15:27 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#337 [ゆーちん]
「そんじゃ、もう大丈夫だろうから俺帰るわ。」


そう言って康孝が帰ったすぐ、家の中の電気は真っ暗に消された。


「哲夫、ごめん。迷惑かけて…」


いつものように私の隣に潜り込み、ベットに寝転がると、哲夫は私を包み込んだ。

⏰:09/01/07 15:28 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#338 [ゆーちん]
「迷惑じゃねぇよ。でもすっげぇ心配した。」

「ごめんなさい。」


哲夫の腕の中はいい匂いで、温かくて、気持ち良い。


「謝るな。俺が悪い。ごめんな。」


哲夫が謝る理由なんか1つもないのに…何で謝ってんの?

⏰:09/01/07 15:29 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#339 [ゆーちん]
「怖かっただろ。ごめん。」


その優しい言葉に、おもわず涙が出そうになった。


うん、怖かったよ。


だけどそんなの素直に言えなくて…ただ黙って、哲夫の腕の中で目を閉じる事しかできなかった。

⏰:09/01/07 15:29 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


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