闇の中の光
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#388 [ゆーちん]
「終わった?」
私が衣装部屋に顔を出すと、ちょうど哲夫がクローゼットの扉を閉めた所だった。
「残念でした。クリスマスプレゼントはまた別のものちょうだいね。」
銀色頭の哲夫が笑った。
:09/01/11 21:39 :SH901iC :/n8N/9j.
#389 [ゆーちん]
片付けが終わったという事で、私たちはいつものように集会へ向かった。
いつもと変わらない夜道はクリスマスイヴって感じはしない。
「この辺りってイルミネーションしてる家とか無いんだね。」
「そういえばそうだな。みんなシケシケ〜って感じ?」
:09/01/11 21:40 :SH901iC :/n8N/9j.
#390 [ゆーちん]
哲夫の家にイルミネーションを付けようと提案すると、笑われた。
明日飾って、すぐ片付けるのか?って。
「そっか。」
「おバカちゃんだな。」
「んー。」
「じゃあさ、また来年な。」
:09/01/11 21:41 :SH901iC :/n8N/9j.
#391 [ゆーちん]
「…来年?」
「おう。来年は12月に入ったらすぐにイルミネーション飾ろう。だから来年まで我慢しろよ。」
当たり前のように口走った【来年】と言う言葉。
:09/01/11 21:41 :SH901iC :/n8N/9j.
#392 [ゆーちん]
私、来年のクリスマスも哲夫と一緒にいるのかな?
もし、哲夫に彼女ができたら…私どうなっちゃうんだろ。
:09/01/11 21:42 :SH901iC :/n8N/9j.
#393 [ゆーちん]
来年のクリスマスの楽しみができて、ちょっと嬉しくなった。
けど、哲夫に彼女ができたらどうしようと、すごく不安になった。
そんなイヴの夜道。
賑やかな声が聞こえ始めた。
:09/01/11 21:42 :SH901iC :/n8N/9j.
#394 [ゆーちん]
その日の集会は、いつもと少し違った。
挨拶の後にある【報告】と呼ばれる作業は、いつもより手短だった。
そしてなぜかツリーがあった。
CDデッキもあり、クリスマスソングが大音量で流されていた。
自然と、笑顔が零れた。
:09/01/11 21:43 :SH901iC :/n8N/9j.
#395 [ゆーちん]
「のんちゃん。」
「んー?」
「明日クリスマスパーティーなんでしょ?なのに今日も騒ぐの?」
「前夜祭みたいなもんだよ。毎年イヴの集会はこんな感じ。」
「そうなんだ。」
:09/01/11 21:43 :SH901iC :/n8N/9j.
#396 [ゆーちん]
寒さなんか忘れちゃうくらい、たくさん笑った。
笑うって、楽しいね。
仲間って、楽しいね。
涙が出そうなくらい、幸せなイヴだった。
:09/01/11 21:44 :SH901iC :/n8N/9j.
#397 [ゆーちん]
あのツリーの輝きも、あのクリスマスソングを響かせるのも、全部哲夫がいるから存在するもの。
お金や人を管理するっていう康孝もすごいけど、哲夫もやっぱすごいと思う。
私は、とんでもない人に拾われたんだ。
:09/01/11 21:45 :SH901iC :/n8N/9j.
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