闇の中の光

ある日の夜、何がきっかけだったのかわからないが父が暴れ出した。

母は今日もいない。

もう３～４日は顔を見ていない気がする。

「ふざけるな！」

別にふざけてない。

ふざけてんのはあんただよ。

背中を殴る父。

体を丸めて小さくなる私。

自分を守る為に丸まったんじゃない。

丸まっていないと、挑発してしまい、父の行為がエスカレートして、殺されてしまうかもしれないから。

最期は自分で、と決めたんだから、今死ぬわけにはいないの。

痛くない死に方をするんだから。

髪を引っ張られ、無理矢理立たされた。

お腹を蹴り上げ発狂する。

「お前さえ、萌子さえいなきゃ！俺らは幸せだったんだ！」

だから…幸せって何。

私がいらないなら施設に戻せばいいじゃない。

「何なんだその顔は！」

何なんだって言われても。

私を生み逃げした両親が作った顔だよ。

憎いでしょ？

あんたの人生を変えちゃったんだからね。

私なんかいなければ、幸せだったかもしれないもんね。

「この野郎…殺す！」

とうとう父の手が私の首を締めた。

やばい。

こいつに殺される訳にはいかないの！

「やめ…て…」

苦しい。

息が出来ない。

「うるさい！黙れ！」

父の手に力が入る。

あぁー…もうダメだ。

私このままこいつに殺されるんだ。

「おと…さ…」

「殺すーっ！」

はぁ…。

どうぞ。

もういいや。

殺して。

さっさと殺してよ。

それで私を開放して。

天国かな、地獄かな。

きっと地獄だろうな。

万引きとか援交とかしてたし。

ゆっくりと意識が薄れてきた。

バイバイ、上辺だけのみなさん。

だけど次の瞬間には、なぜか私の咳の声が聞こえた。

「ゲホッ、ゲホッ…」

あれ、なんで私むせ返してんの。

まさか…まだ生きてる？

「出て行け！」

これはこれでラッキーなのかな。

自分で死に方選べるんだし。

でもどうせなら殺してくれたほうがよかったな。

もう苦しかったり、痛い思いはいやだよ。

ガチャ…

私は家から飛び出した。

フラフラの足取り。

…っていうか真っ直ぐ歩けてないし。

宛もなく、とにかく前に進んでみた。

だって…