闇の中の光
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#443 [ゆーちん]
やめて。
来ないで。
話し掛けないで。
「萌子、何してんの?」
宗太郎が近付いて来ると、哲夫が言った。
:09/01/13 15:27 :SH901iC :4gcR8RAo
#444 [ゆーちん]
「萌子って誰?つか、お前が誰?近寄んじゃねぇぞガキが。」
哲夫の威嚇に、宗太郎が怒鳴った。
「うるせぇ!お前には関係ねぇんだよ。俺は萌子に用があるんだ。」
いつの間にか、私の目から涙が溢れていた。
:09/01/13 15:27 :SH901iC :4gcR8RAo
#445 [ゆーちん]
「だから萌子って誰?こいつは萌子じゃねぇよ。失せろ。」
哲夫がそう言ったはずなのに、宗太郎は構わず私に話し掛けて来た。
:09/01/13 15:28 :SH901iC :4gcR8RAo
#446 [ゆーちん]
「なぁ、萌子!お前こんなとこで何してんの?地元じゃお前がいなくなったって、みんな騒いでるぞ!」
…みんなって、誰。
…騒ぐって、何。
どうせ…上辺だけなくせに。
:09/01/13 15:28 :SH901iC :4gcR8RAo
#447 [ゆーちん]
「俺だって心配したんだ。連絡つかないし…でも良かった。ちゃんと生きてて!」
…生きてて?
「死んだよ!」
「え?」
「萌子は死んだよ。私、萌子じゃない。」
「何言ってんの?」
「どっか行って!私は萌子じゃないんだから!」
泣き叫ぶ私に、哲夫が『シホ。』と優しく名前を呼んでくれた。
:09/01/13 15:29 :SH901iC :4gcR8RAo
#448 [ゆーちん]
どうしよう。
また苦しい。
「行くぞ?」
小さな声で私に問う哲夫。
「うん。」
哲夫が歩き出す。
すると宗太郎が走ってくる足音が聞こえた。
「おいっ!」
:09/01/13 15:29 :SH901iC :4gcR8RAo
#449 [ゆーちん]
宗太郎が哲夫の肩に手をかけて、私は振り落とされた。
次の瞬間、違う温もりが私を包んでいた。
「会いたかった、萌子。」
離して。
宗太郎になんか抱きしめられたくない。
私は萌子じゃない。
宗太郎じゃなくて、哲夫に抱きしめられたいの。
「やだ…」
:09/01/13 15:30 :SH901iC :4gcR8RAo
#450 [ゆーちん]
「おいっ!」
今度は哲夫が宗太郎の肩に手をかけた。
私は宗太郎の腕から開放され、すぐにま哲夫に抱っこされた。
「ふざけんな!失せろ。」
哲夫が走りだす。
もう宗太郎は追い掛けてこなかった。
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#451 [ゆーちん]
どこに逃げたのかわかんない。
ずっと哲夫の腕の中で泣いていたから。
「シホ、おい。大丈夫か?」
「て…おっ…苦し…」
「過呼吸?」
たぶん。
私は頷いた。
:09/01/13 15:31 :SH901iC :4gcR8RAo
#452 [ゆーちん]
すぐに口を塞がれ、哲夫の二酸化炭素を吸った。
この前よりも治るのに時間がかかった。
頭が余計な事を考えているからかな。
さっきの宗太郎の顔と声が忘れらんない。
何で今更現れんのよ。
萌子の事、思い出したくないのに。
苦しいよ…体も心も。
:09/01/13 15:31 :SH901iC :4gcR8RAo
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