闇の中の光
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#445 [ゆーちん]
「だから萌子って誰?こいつは萌子じゃねぇよ。失せろ。」


哲夫がそう言ったはずなのに、宗太郎は構わず私に話し掛けて来た。

⏰:09/01/13 15:28 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#446 [ゆーちん]
「なぁ、萌子!お前こんなとこで何してんの?地元じゃお前がいなくなったって、みんな騒いでるぞ!」


…みんなって、誰。


…騒ぐって、何。


どうせ…上辺だけなくせに。

⏰:09/01/13 15:28 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#447 [ゆーちん]
「俺だって心配したんだ。連絡つかないし…でも良かった。ちゃんと生きてて!」


…生きてて?


「死んだよ!」

「え?」

「萌子は死んだよ。私、萌子じゃない。」

「何言ってんの?」

「どっか行って!私は萌子じゃないんだから!」


泣き叫ぶ私に、哲夫が『シホ。』と優しく名前を呼んでくれた。

⏰:09/01/13 15:29 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#448 [ゆーちん]
どうしよう。


また苦しい。


「行くぞ?」


小さな声で私に問う哲夫。


「うん。」


哲夫が歩き出す。


すると宗太郎が走ってくる足音が聞こえた。


「おいっ!」

⏰:09/01/13 15:29 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#449 [ゆーちん]
宗太郎が哲夫の肩に手をかけて、私は振り落とされた。


次の瞬間、違う温もりが私を包んでいた。


「会いたかった、萌子。」


離して。


宗太郎になんか抱きしめられたくない。


私は萌子じゃない。


宗太郎じゃなくて、哲夫に抱きしめられたいの。


「やだ…」

⏰:09/01/13 15:30 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#450 [ゆーちん]
「おいっ!」


今度は哲夫が宗太郎の肩に手をかけた。


私は宗太郎の腕から開放され、すぐにま哲夫に抱っこされた。


「ふざけんな!失せろ。」


哲夫が走りだす。


もう宗太郎は追い掛けてこなかった。

⏰:09/01/13 15:30 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#451 [ゆーちん]
どこに逃げたのかわかんない。


ずっと哲夫の腕の中で泣いていたから。


「シホ、おい。大丈夫か?」

「て…おっ…苦し…」

「過呼吸?」


たぶん。


私は頷いた。

⏰:09/01/13 15:31 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#452 [ゆーちん]
すぐに口を塞がれ、哲夫の二酸化炭素を吸った。


この前よりも治るのに時間がかかった。


頭が余計な事を考えているからかな。


さっきの宗太郎の顔と声が忘れらんない。


何で今更現れんのよ。


萌子の事、思い出したくないのに。


苦しいよ…体も心も。

⏰:09/01/13 15:31 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#453 [ゆーちん]
「シホ?」

「もう…大丈夫。」

「本当か?」

「うん。」


やっと落ち着いた。


だけど涙が止まらない。


「もう泣くな。お前、ちょっとここで待ってろ。」

「うん。」

「すぐに戻るから。」


頷く私を抱きしめてから、哲夫は走り去った。

⏰:09/01/13 15:32 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#454 [ゆーちん]
ここ、どこだろう。


寒い。


痛い。


眠い。


少し、横になろう。


冷たい地面に寝転がり、空を見上げた。


汚い空。


今日は星が1つも出ていない。


真っ暗な空だ。


暗闇が広がっている空。


気味悪い。

⏰:09/01/13 15:32 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


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