闇の中の光
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#478 [ゆーちん]
「…シホ。」

「ごめん、起こした?」

「ううん、俺が勝手に起きた。」


布団が動く音と共に、私は哲夫にきつく抱きしめられた。


「抱き枕。」

「辞めてよ。」

「なぁシホ。」

「何?」

⏰:09/01/15 18:19 📱:SH901iC 🆔:Jfqqe8Pw


#479 [ゆーちん]
「人間の温もりって安心すんのな。シホのおかげで俺、初めて知った。」


何を、言ってるんだろう、この人は。


人間の温もりなんて、哲夫なら有り余る程、もらってきたんじゃないの?


「俺さぁ、こうやって誰かを抱きしめた事もなけりゃ、抱きしめてもらった事もねぇの。」

⏰:09/01/15 18:20 📱:SH901iC 🆔:Jfqqe8Pw


#480 [ゆーちん]
哲夫の過去は、何だか少し同情と…仲間意識のようなものが沸いた。


「俺、長男でさ、親からの期待とかすげぇデカくて。親父の会社を俺に継がすのに必死なんだよ。」


哲夫の低い声が続く。


「そんな親に反抗して、迷惑かけて、親に見放されるっつう…よくあるパターンだ。」

⏰:09/01/15 18:21 📱:SH901iC 🆔:Jfqqe8Pw


#481 [ゆーちん]
「見放されるって…」

「金はいくらでもやるから千早家には帰って来るな、って。昔から冷たい親だったから甘えさせてもらった事もないし、物心ついた時から俺は家族に対してドライだったんだ。」


私が話をしようと思ってたこと、哲夫にバレちゃったのかな?


哲夫は自分の過去を淡々と話し続けた。

⏰:09/01/15 18:23 📱:SH901iC 🆔:Jfqqe8Pw


#482 [ゆーちん]
「会社は弟が継ぐらしくて、必死に勉強してる。俺が継ぐもんだと思ってて会社経営の勉強なんかしてなかったから慌てて将来の夢、変更ってわけだよ。弟には悪い事したなって思う。」


弟、いるんだ。


萌子には血の繋がったキョウダイ、いたのかな?

⏰:09/01/15 18:24 📱:SH901iC 🆔:Jfqqe8Pw


#483 [ゆーちん]
「実家飛び出して女のとこ転々として。でも自分の居場所が欲しくて…いつの間にかチームとか作ってた。親は、どっから俺の情報拾ったのか知んねぇけど、毎月お金を振り込む通帳みたいなの俺に送ってきやがった。」

⏰:09/01/15 18:25 📱:SH901iC 🆔:Jfqqe8Pw


#484 [ゆーちん]
そっか。


だから哲夫はお金には困らない生活をしていたんだ。


「通帳と一緒に手紙入ってて、たまには帰って来いとか書いてあるのかと思ったら…金はいくらでもやるから、うちの会社とは無関係だと誓え、みたいな事書いてあんの。」

⏰:09/01/15 18:26 📱:SH901iC 🆔:Jfqqe8Pw


#485 [ゆーちん]
それって…


「勘当ってやつ。ムカついたり悲しんだり悔しかったりしなかった。むしろ安心した。何でかわかんねぇけど、生きる勇気とか沸いたし。」


ねぇ、哲夫。


私も、話したい事があるよ。

⏰:09/01/15 18:26 📱:SH901iC 🆔:Jfqqe8Pw


#486 [ゆーちん]
いや、私じゃない。


萌子として、聞いて欲しい事があるよ。

⏰:09/01/15 18:27 📱:SH901iC 🆔:Jfqqe8Pw


#487 [ゆーちん]
「テツ…」

「ん?」


哲夫の腕の中で、萌子の話を始めよう。


「萌子はね、生まれてすぐ親に捨てられたんだ。施設で育って、7才の時に今の親の子供になった。最初は楽しかったの。でも、いつのまにか家族はバラバラになってた。父も母も、萌子に暴力を振るうの。痛くて恐くて苦しくて…生きる事に諦めてたんだぁ。」

⏰:09/01/15 18:29 📱:SH901iC 🆔:Jfqqe8Pw


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