闇の中の光
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#557 [ゆーちん]
何で謝られてるのか意味わかんないよ。
ペットだろうが奴隷だろうが、哲夫の傍にいられるなら何だっていい。
一緒にいれるなら、どんな口実だっていい。
心からそう思う。
:09/01/19 11:00 :SH901iC :ZU.S4G5o
#558 [ゆーちん]
なのに哲夫は、苦笑いしたままで…申し訳なさそうな顔をする。
そんな彼の唇を、私から奪いに向かった。
気にしてないよ。
哲夫の傍にいられるなら何でもいいよ。
大好きだよ。
そんな事を頭に浮かべながら、甘いキスを繰り返した。
:09/01/19 11:00 :SH901iC :ZU.S4G5o
#559 [ゆーちん]
シホ。
シホ。
シホ。
唇が少し離れるたびに名前を呼ばれる。
何だか名前を呼ばれる事が、急に切なく感じた。
私はシホなの?
シホでいいの?
そんな感じ。
勝手に涙が流れていた。
:09/01/19 11:05 :SH901iC :ZU.S4G5o
#560 [ゆーちん]
数分後。
お風呂に入り、消えかけている青アザや古傷を撫でてもらった。
萌子の傷は、シホの傷じゃない。
「消えて来たな。腹のアザ。」
「…うん。」
「俺のマジックハンドのおかげ?」
そうだよ。
哲夫の手のおかげだよ。
優しく撫でてくれる哲夫がいたから、傷は和らいだんだ。
:09/01/19 11:06 :SH901iC :ZU.S4G5o
#561 [ゆーちん]
お風呂から上がり、哲夫がテレビをつけた時、私たちは気付いた。
「今日、大晦日じゃん。」
12月31日。
ついこの間、クリスマスだって騒いでいたかと思えば、もう大晦日だ。
今年も終わり。
今年は私にとって劇的な年。
:09/01/19 11:07 :SH901iC :ZU.S4G5o
#562 [ゆーちん]
チームが襲撃にあってから、ドタバタしすぎて、日にち感覚がなかったかも。
って言ってもほんの2、3日前だけどね。
「年越し蕎麦食ってねぇしー。」
年越し蕎麦か。
もう何年食べてないんだろう。
家族がバラバラになってからの年末年始なんて、ただの苦痛の日々でしかなかった。
:09/01/19 11:08 :SH901iC :ZU.S4G5o
#563 [ゆーちん]
年越し蕎麦もなし。
お雑煮やお節料理だってなし。
もちろん、お年玉も。
年末年始は普段よりも仕事に精を出していた。
父親にも『年末年始は稼げるから、たくさん働け。』と言われる程だもの。
寒い中、懐の緩んだ親父との援助交際に励んでいたんだ。
:09/01/19 11:09 :SH901iC :ZU.S4G5o
#564 [ゆーちん]
いい思い出なんかない大晦日。
もちろん、お正月だって同じ。
いい思い出なんか、全然…。
「蕎麦食わなきゃ年越せねぇっつうの。康呼ぶぞ。」
そう言って哲夫は康孝に電話をかけた。
:09/01/19 11:10 :SH901iC :ZU.S4G5o
#565 [ゆーちん]
「蕎麦3人前買って来て。」
哲夫のその命令に、たった20分で対応した康孝は、なぜか上機嫌で蕎麦を持ってやって来た。
「いぇーい、あけおめイヴ〜。」
「意味わかんねぇし。」
「ヤッちゃん、寒いのにわざわざありがと。こっち座って。」
「おっ、サンキュね。シホちゃん。」
:09/01/19 11:11 :SH901iC :ZU.S4G5o
#566 [ゆーちん]
私が座っていた場所を康孝に譲り、年越し蕎麦を作りにキッチンへ向かった。
ダシを作って、温めた蕎麦にかけるだけ。
こんな簡単な料理なのに、どうして金河家は年越し蕎麦を作ってくれなくなったんだろう。
そんな疑問、考えたって答えは出るはずもないか。
:09/01/19 11:12 :SH901iC :ZU.S4G5o
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