闇の中の光
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#580 [ゆーちん]
「餅が食いてぇ。」
哲夫が誰かに電話をしていたと思えば、数分後にはインターホンが鳴る。
「お待たせしました!」
お餅が届く。
チームの新人は新年早々、哲夫に動かされてちょっぴり可哀相だと思ったけど、一緒になってお餅を食べる私も同罪だ。
:09/01/20 21:31 :SH901iC :F4H0SjdY
#581 [ゆーちん]
何をする訳もなく、部屋でゴロゴロとテレビを見たりゲームをしたり、お腹が空けば二人で買い物に行く。
相手を可愛いと思えばキスをするし、愛おしいと思えばSEXをする。
そんなお正月も矢のように過ぎて、今年初めての集会の時間を迎えた。
:09/01/20 21:32 :SH901iC :F4H0SjdY
#582 [ゆーちん]
襲撃されてから初めて顔を出す集会。
そこは、いつもと変わらない賑やかさと明るさが溢れていた。
「シホちゃーん!」
誰かが私を呼びながら近付いて来る。
顔を見なくても、もう声だけでわかるんだ。
私の、仲間だから。
:09/01/20 21:33 :SH901iC :F4H0SjdY
#583 [ゆーちん]
「のんちゃん。」
「あけおめ!今年も仲良くしようね〜。」
いつもと変わらない笑顔がそこにはあった。
まるで、あの日の惨劇なんて最初っから無かったかのような笑顔。
「のんちゃん…体、だいじょ‥」
「気にしないで!ただの打撲だし。心配かけてごめんね。」
:09/01/20 21:34 :SH901iC :F4H0SjdY
#584 [ゆーちん]
心配する私をよそに、明るい表情のままののんちゃん。
「私の方こそ本当ごめんなさい。私のせいで、のんちゃん…」
「あぁー、シホちゃん、そういうの無し無し。誰のせいでもないよ。現に私は超元気なわけだし、結果オーライじゃん?」
:09/01/20 21:35 :SH901iC :F4H0SjdY
#585 [ゆーちん]
「でも…」
「本当に大丈夫だから。あんなの一々気にしてたら、これからやってけないよ?だからほら、笑って!」
終始笑顔ののんちゃんにつられ、少しだけの笑顔が浮かんだ私。
本当に許してもらっていいのだろうか。
:09/01/20 21:36 :SH901iC :F4H0SjdY
#586 [ゆーちん]
なんだか納得いかない気もするけど、話はそのまま流れてしまい、場内に康孝の声が広がった。
「はーい、注目!みんな、あけおめ。まずはテッちゃんから挨拶と報告がありまーす。」
続いて哲夫の声が響く。
:09/01/20 21:36 :SH901iC :F4H0SjdY
#587 [ゆーちん]
「あけましておめでとうございまーす。今年もよろしくっつう事で、さっそくみんなに報告。この前の仕返し、明日行くつもりだから、いつもの時間にここ集合。女子と新人はついて来んじゃねぇぞ?はい、以上。」
「つーわけだ!わかったか?」
:09/01/20 21:37 :SH901iC :F4H0SjdY
#588 [ゆーちん]
康孝の付け足した問いに、みんなが返事を返した。
いつもより、気合い入ってる返事。
隣にいたのんちゃんや、他の女の子も、返事に力が入ってた。
:09/01/20 21:39 :SH901iC :F4H0SjdY
#589 [ゆーちん]
「うちらのかたき、哲夫さんに取って来てもらわなきゃね!」
のんちゃんが笑って言った。
「…うん。」
複雑なの、心の中が。
仲間が私の過ちを許してくれたり、好きな人が誰かを殴りに行ったり、元カレが敵だったり、もうすぐ萌子に戻らなきゃいけなくなったり。
色んな感情が混ざりあった私の頬を、冷たい風が撫でてった。
:09/01/20 21:40 :SH901iC :F4H0SjdY
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