闇の中の光
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#619 [ゆーちん]
お風呂から上がり、そのお好み焼きを頬張った。
簡単な料理だけど、私にとっては特別な料理。
色違いのお箸で食べたお好み焼き。
自分で作った物を、初めて美味しいって思えた。
料理って味だけじゃなく、誰とどこでどんな風に食べるかも左右されるんだね。
:09/01/23 21:35 :SH901iC :OVGZkR5U
#620 [ゆーちん]
食べ終わり、片付けが済めば、集会に行く支度をする。
着替えたり、髪をセットしたり、化粧したり。
今日もいつものように準備に取り掛かる。
そんな私を、ベットに腰掛けて煙草を吸う哲夫の目が、ずっと追い掛けていた。
:09/01/23 21:36 :SH901iC :OVGZkR5U
#621 [ゆーちん]
「何見てんの?」
「んー?」
「あんま見ないでよ。恥ずかしいじゃん。」
照れ笑いした私に哲夫は小さく呟いた。
「明日の今頃には、もういねぇのかなって思って。」
私の顔から笑顔が消えた。
同時に、化粧をする手の動きも止まった。
:09/01/23 21:45 :SH901iC :OVGZkR5U
#622 [ゆーちん]
「そんな寂しい事、言わないで。」
「…ん、悪い。」
ずっとずっと、はっきりさせたいって思っていた事があった。
この機会に、哲夫に聞いてもいいよね?
「聞いてもいいかな?」
「何?」
:09/01/23 21:46 :SH901iC :OVGZkR5U
#623 [ゆーちん]
「ずっと私を守ってくれるって言ったよね。それって、どういう意味なの?」
「…味方っつう事。」
「私って、哲夫にとって…何?味方以外の言葉で教えて。」
【味方】って言葉だけで充分なのに、私は欲が出た。
自分が欲しい言葉が返って来なかったらヘコむくせに…バカでしょ?
:09/01/23 21:47 :SH901iC :OVGZkR5U
#624 [ゆーちん]
せっかく恋愛感情を知れたのに、一気に砕け散るのが恐かった。
勇気のない女だ。
でも今なら少しだけ自信があった。
【彼女】とまではいかないが、【ペット】ではないだろうっていう自信。
:09/01/23 22:56 :SH901iC :OVGZkR5U
#625 [ゆーちん]
「知りてぇの?」
「うん。」
哲夫の口が開いたシーンが、とてもスローモーションに目に映った。
次の瞬間、哲夫の口から出た言葉を聞き、私はまんまと泣かされた。
:09/01/23 22:57 :SH901iC :OVGZkR5U
#626 [ゆーちん]
「愛してる人。」
ねぇ、今なら前言撤回していいよ?
でないと私、信じちゃうから。
私が欲しかった言葉以上だよ、それ。
「じゃあ聞くけど、シホにとって俺って何?」
「…二酸化炭素くれる人。」
「フフッ。何だそれ。」
「嘘、ごめん。」
:09/01/23 22:58 :SH901iC :OVGZkR5U
#627 [ゆーちん]
嘘はだめだから、ちゃんと言い直せと叱られたから、言い直した。
「世界一大好きな人。」
泣いてる私を抱きしめた哲夫の笑顔は、幼稚園児みたいだったよ。
笑顔がキラキラしてた。
:09/01/23 22:58 :SH901iC :OVGZkR5U
#628 [ゆーちん]
私の心は闇だった。
だけど哲夫っていう、手をかざしたくなるような光が照らしてくれた。
「哲夫は光だ…。」
「光?俺、改名したっけ?」
「違う、そうじゃない。」
「じゃあ何。」
:09/01/23 22:59 :SH901iC :OVGZkR5U
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