闇の中の光
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#625 [ゆーちん]
「知りてぇの?」
「うん。」
哲夫の口が開いたシーンが、とてもスローモーションに目に映った。
次の瞬間、哲夫の口から出た言葉を聞き、私はまんまと泣かされた。
:09/01/23 22:57 :SH901iC :OVGZkR5U
#626 [ゆーちん]
「愛してる人。」
ねぇ、今なら前言撤回していいよ?
でないと私、信じちゃうから。
私が欲しかった言葉以上だよ、それ。
「じゃあ聞くけど、シホにとって俺って何?」
「…二酸化炭素くれる人。」
「フフッ。何だそれ。」
「嘘、ごめん。」
:09/01/23 22:58 :SH901iC :OVGZkR5U
#627 [ゆーちん]
嘘はだめだから、ちゃんと言い直せと叱られたから、言い直した。
「世界一大好きな人。」
泣いてる私を抱きしめた哲夫の笑顔は、幼稚園児みたいだったよ。
笑顔がキラキラしてた。
:09/01/23 22:58 :SH901iC :OVGZkR5U
#628 [ゆーちん]
私の心は闇だった。
だけど哲夫っていう、手をかざしたくなるような光が照らしてくれた。
「哲夫は光だ…。」
「光?俺、改名したっけ?」
「違う、そうじゃない。」
「じゃあ何。」
:09/01/23 22:59 :SH901iC :OVGZkR5U
#629 [ゆーちん]
「ずっと闇の中でウロウロしてた私に、哲夫が光を与えてくれた。そういう意味の光。その光のおかげで、私…こんな幸せな気分になってる。」
「じゃあ言わせてもらうけど。」
「何?」
「闇がなきゃ光は輝かねぇんだぞ?知ってた?つまりシホがいなきゃ俺は生きてけねぇっつう事だな。」
:09/01/23 23:00 :SH901iC :OVGZkR5U
#630 [ゆーちん]
何が、つまりだよ。
全然つじつま合わないし。
やっぱりちょっとバカなんだ。
そんな人間らしい哲夫の温もりに、涙が止まらなかった。
マスカラを塗る前でよかった。
塗ってたら、黒い涙だって哲夫にバカにされそうだからね。
:09/01/23 23:00 :SH901iC :OVGZkR5U
#631 [ゆーちん]
『これ以上抱きしめていると、歯止めが効かないから。』と笑いながら、私から離れた哲夫。
もっと哲夫の傍に居たかったんだけど…私も化粧の途中だし。
涙を拭いてからマスカラやアイライン、そしてアイシャドーを目に施す。
:09/01/23 23:01 :SH901iC :OVGZkR5U
#632 [ゆーちん]
このメイクは、哲夫に教えてもらった【シホのメイク】だ。
明日、萌子に戻ったら…またあの派手な化粧をしなきゃなんないのかな。
…って、別にそこまで完璧にシホと萌子を切り替えなくてもいいのか。
:09/01/23 23:04 :SH901iC :OVGZkR5U
#633 [ゆーちん]
目の前に迫る運命が近付くと、急に慌ててしまう私は、ただの臆病者だった。
焦っちゃって、恐くなっちゃって…また痛い思いをするのかなと思うと、何もかも投げやりたくなる。
:09/01/23 23:04 :SH901iC :OVGZkR5U
#634 [ゆーちん]
でも違う。
それは間違ってる。
いくら苦しくても、いくら辛くても、いくら恐くても、いくら痛くても…もう逃げちゃいけないんだよ。
【死】に逃げるのは、試合放棄してるって事。
私はまだまだ戦えるんだ。
戦うべきなんだ。
:09/01/23 23:05 :SH901iC :OVGZkR5U
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