闇の中の光
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#648 [ゆーちん]
家に着くと、のんちゃんの表情は益々堅くなった。
「失礼しますっ!」
「そんな力まなくても。」
「いや、だって哲夫さんの家だし…」
すると、哲夫は笑いながら言った。
「シホの家でもあるんだぞ。ツレん家に入るだけなのに、そんなカチカチになる必要ねぇよ。」
:09/01/24 18:25 :SH901iC :JFMqBZYE
#649 [ゆーちん]
それを聞いたのんちゃんの表情は、少し緩んだ。
私も、緩んだ。
私の家でもあるんだって、この家。
それって、すごい嬉しい事だよね。
なんだか心がキュンとなる。
「それじゃあ、おっ…お邪魔します!」
:09/01/24 18:26 :SH901iC :JFMqBZYE
#650 [ゆーちん]
「リラックスしてね?そんな緊張されてちゃ、私も緊張しちゃうよ。」
「あっ、うん。そうだよね。」
「何か飲む?」
「ううん、お構いなく!」
「…紅茶でいい?」
「あっ、うん。じゃあ紅茶で。」
どっちだよ、とツッコミたくなるほどだった。
:09/01/24 18:27 :SH901iC :JFMqBZYE
#651 [ゆーちん]
いつものリラックスしたのんちゃんとは別人。
でもなんか、可愛かった。
のんちゃんのそういう性格、好きだな。
「哲夫は?」
「俺はいらなーい。ビール飲む。」
:09/01/24 18:28 :SH901iC :JFMqBZYE
#652 [ゆーちん]
のんちゃんにはソファーに座って待っててもらい、私と哲夫はキッチンに。
哲夫が冷蔵庫を漁りながら、声をあげた。
「望実ぃー!」
ソファーから立ち上がったのんちゃんは、元気な返事をする。
「はいっ!」
:09/01/24 18:29 :SH901iC :JFMqBZYE
#653 [ゆーちん]
「ビール飲むか?」
「いや、私まだ19なんで。」
「あぁ、そ。残念。」
「すみません。ありがとうございます!」
のんちゃん見てると、癒される。
と、同時に感心。
そんな風に尊敬できるような人がいて、緊張とかしちゃって…萌子には無かった事だったから。
:09/01/24 18:29 :SH901iC :JFMqBZYE
#654 [ゆーちん]
上下関係を知らなかった私に、そっと教えてくれたのは、哲夫のチームのおかげ。
あんまり上下関係を気にしないで、ってチームだったから私自体、緊張したり尊敬したりって事はなかったけど、その事実を目の当たりにして、ちょっと感動とかしちゃったし。
:09/01/24 18:30 :SH901iC :JFMqBZYE
#655 [ゆーちん]
「お待たせ。」
「あっ、ありがとう。」
「砂糖とミルクは?」
「どっちも入れてくれる?」
「OK。」
紅茶を入れ終え、私も哲夫ものんちゃんのいる場所に移動した。
のんちゃんの表情は、玄関にいた時よりほんの少し、緩んだかな。
さて、何から話そうか。
:09/01/24 18:30 :SH901iC :JFMqBZYE
#656 [ゆーちん]
紅茶を飲む音。
ビールを飲む音。
シンとした部屋。
最初に口を開いたのは、のんちゃんだった。
「美味しい。」
哲夫以外の人に美味しいと言われた。
それがたまらなく嬉しく感じてしまう。
「ありがとう。」
:09/01/24 18:31 :SH901iC :JFMqBZYE
#657 [ゆーちん]
他愛もない事だけど、私には心が奮い立つぐらい幸せな言葉なんだ。
インスタントの紅茶にお湯を入れただけなのに、美味しいって。
社交辞令かもしれないけど、嬉しい。
:09/01/24 18:31 :SH901iC :JFMqBZYE
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