闇の中の光
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#723 [ゆーちん]
哲夫に背を向け、歩き出した時。
「だぁー!待って!」
拍子抜けしちゃうような、哲夫の声。
足を止め、哲夫の方を向くと何か投げられた。
「落とすな!」
「えっ?」
:09/01/25 11:31 :SH901iC :PIdEEYAI
#724 [ゆーちん]
落とすまいと慌てて掴んだもの。
携帯電話だった。
「…これ。」
「服とか化粧品は置いといてやる。あと箸も。でも携帯電話は携帯って言うぐらいだから、携帯しねぇといけないもんじゃん?」
:09/01/25 11:31 :SH901iC :PIdEEYAI
#725 [ゆーちん]
哲夫、康孝、のんちゃん、チームの女の子達。
萌子の携帯電話より、登録件数は少ないけど、とても純粋な携帯電話だって自分では思う。
「いいの?」
「負けたら電話して来い!ぶっ飛んでってやるから。」
哲夫の笑顔も、最高だ。
:09/01/25 11:32 :SH901iC :PIdEEYAI
#726 [ゆーちん]
涙は見せない。
笑顔を見せるんだ。
「ありがと。」
「次に会う時は、汚い格好で寝転がってんじゃなくて、綺麗な格好で恋人同士として会おうな!」
「うん!」
もう、振り返る事はなかった。
あまり見覚えのない道を堂々と歩いてやった。
:09/01/25 11:32 :SH901iC :PIdEEYAI
#727 [ゆーちん]
しばらく歩くと、すぐに見覚えのある道に出た。
足は自然と金河家に進む。
不思議と、人っこ一人出会わなかった。
目に映る、あの金河家。
吐き気がする。
そんな時は目を閉じて、笑顔を浮かべる。
のんちゃん、康孝、そして哲夫。
:09/01/25 11:33 :SH901iC :PIdEEYAI
#728 [ゆーちん]
よし、行こう。
私は歩くスピードを変えずに、家まで一直線と進んだ。
地獄への扉の鍵は開いたまま。
勢いよく扉を開けて、叫んでやった。
「ただいま!」
:09/01/25 11:34 :SH901iC :PIdEEYAI
#729 [ゆーちん]
▲▽▲▽▲▽▲
約束
▲▽▲▽▲▽▲
:09/01/25 11:48 :SH901iC :PIdEEYAI
#730 [ゆーちん]
哲夫と過ごす季節は、いつだって寒い時だ。
11ヵ月ぶりの再会に、緊張などなかった。
ただただ気持ちが跳ね上がるだけ。
銀色だった頭は金色に戻り、1年前、死にきれなかった私を覗き込んだ哲夫を思い出させる。
:09/01/25 11:49 :SH901iC :PIdEEYAI
#731 [ゆーちん]
11ヵ月前、私は戦った。
あの憎々しい親と。
もう殴られるのは懲り懲りだ。
私をストレス発散の道具にするな。
いらないなら私を施設に戻して。
涙を耐えながら訴えた。
:09/01/25 11:49 :SH901iC :PIdEEYAI
#732 [ゆーちん]
私は変わった。
哲夫達のおかげで、生きたいと思うようになった。
けど、変わったのは私だけではなかったようだ。
父は仕事を見つけ、酒を控えては朝から夕方まで毎日働くようになっていた。
母も不倫は辞めたのか続けているのかはわからないけど、毎日家に帰って来る。
:09/01/25 11:50 :SH901iC :PIdEEYAI
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