闇の中の光
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#728 [ゆーちん]
よし、行こう。
私は歩くスピードを変えずに、家まで一直線と進んだ。
地獄への扉の鍵は開いたまま。
勢いよく扉を開けて、叫んでやった。
「ただいま!」
:09/01/25 11:34 :SH901iC :PIdEEYAI
#729 [ゆーちん]
▲▽▲▽▲▽▲
約束
▲▽▲▽▲▽▲
:09/01/25 11:48 :SH901iC :PIdEEYAI
#730 [ゆーちん]
哲夫と過ごす季節は、いつだって寒い時だ。
11ヵ月ぶりの再会に、緊張などなかった。
ただただ気持ちが跳ね上がるだけ。
銀色だった頭は金色に戻り、1年前、死にきれなかった私を覗き込んだ哲夫を思い出させる。
:09/01/25 11:49 :SH901iC :PIdEEYAI
#731 [ゆーちん]
11ヵ月前、私は戦った。
あの憎々しい親と。
もう殴られるのは懲り懲りだ。
私をストレス発散の道具にするな。
いらないなら私を施設に戻して。
涙を耐えながら訴えた。
:09/01/25 11:49 :SH901iC :PIdEEYAI
#732 [ゆーちん]
私は変わった。
哲夫達のおかげで、生きたいと思うようになった。
けど、変わったのは私だけではなかったようだ。
父は仕事を見つけ、酒を控えては朝から夕方まで毎日働くようになっていた。
母も不倫は辞めたのか続けているのかはわからないけど、毎日家に帰って来る。
:09/01/25 11:50 :SH901iC :PIdEEYAI
#733 [ゆーちん]
引き分けだと思った。
もう殴らない。
苦しめない。
萌子が必要だ。
確かにそう言った。
最初は信じられなかった。
口だけなら、何だって言える。
態度で表してもらうまで、警戒心はとけなかった。
:09/01/25 11:51 :SH901iC :PIdEEYAI
#734 [ゆーちん]
母を信じてもいいのかもしれない、と思ったのは私が萌子に戻って1週間後の事だった。
冬休みがちょうど終わったので、私は康孝にクリーニングしてもらった制服を着て高校にまた通う事にした。
:09/01/25 11:52 :SH901iC :PIdEEYAI
#735 [ゆーちん]
冬休み前から長く休んでいたのだ。
担任に何か色々と聞かれる事だろうと、うんざりしていた。
「…いってきます。」
朝、ぎこちなくリビングを出た。
「萌子。」
「…何?」
母は言った。
「一緒に学校まで行きましょう。ずっと休んでたんだから、先生に説明しないと。」
:09/01/25 11:53 :SH901iC :PIdEEYAI
#736 [ゆーちん]
驚いた。
授業参観なんて来た事もなく、個人懇談さえ嫌がる母が自ら学校に出向くなんて。
私と母は、朝の寒い道を歩いて学校まで進んだ。
ぎこちなく、くすぐったい。
:09/01/25 11:54 :SH901iC :PIdEEYAI
#737 [ゆーちん]
学校に着き、職員室に行く。
担任が私を見て、目を丸くした。
「金河!」
久しぶりにその苗字を呼ばれた。
シホには苗字がなかったから。
「話を聞かせて下さい。こちらへ。」
担任が用意した教室に、3人で入る。
寒く、かび臭い教室。
:09/01/25 11:54 :SH901iC :PIdEEYAI
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