闇の中の光
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#756 [ゆーちん]
会いに行けば会ってくれる距離にいたのに11ヵ月もの間、会わなくても私は大丈夫だった。
自惚れだって言われてもいい。
私は見放されないっていう自信が、なぜか満々とあった。
12月の再会には意味があった。
:09/01/25 12:08 :SH901iC :PIdEEYAI
#757 [ゆーちん]
萌子に戻ってからの11ヵ月間、毎日なにかしら忙しかった。
援助交際ではないアルバイトをし、父だけの収入では苦しい家庭を支えた。
高校3年生になり、夏には就職先が決まった。
秋が過ぎ、冬が来る。
本当に早かった。
:09/01/25 12:08 :SH901iC :PIdEEYAI
#758 [ゆーちん]
私の気持ちを親に打ち明けたのは11月の末。
家を出て行きたい。
好きな人と住みたい。
でもたまには家族として、3人で過ごしたい。
答えはOKだった。
私がいなくなった去年の冬、2人は考えてくれたらしい。
:09/01/25 12:09 :SH901iC :PIdEEYAI
#759 [ゆーちん]
萌子にも幸せな人生を歩かせてやりたい、って。
初心に戻って、1からやり直したいって思ったんだって。
信じがたい話だったけど、信じてみようと思った。
もう暴力を振るって来なくなったから。
:09/01/25 12:10 :SH901iC :PIdEEYAI
#760 [ゆーちん]
そんな私の幸せが、家を出て好きな人と暮らす事なら応援すると親は言った。
だけど仕送りを頼まれた。
結局お金かよ、って思ったけど援交してた時の苦痛とか苛立ちは感じなかった。
2人は私の巣立ちを、私は2人への仕送りを承諾し、話はまとまった。
:09/01/25 12:11 :SH901iC :PIdEEYAI
#761 [ゆーちん]
久しぶりにその携帯電話を使う。
ずっと料金は支払われていて、いつでも使える状態にしてくれていた。
「もっしっしー。」
「フフッ。元気そうだね。」
「俺はいつだって元気。」
私の兄のような人の11ヵ月ぶりの声には、何の変わりもなかった。
:09/01/25 12:11 :SH901iC :PIdEEYAI
#762 [ゆーちん]
「あの倉庫に迎えに来てくんないかな?」
「おうよ!」
康孝の威勢のいい返事。
よかった。
私の新たな旅立ちの出だしは好調。
断られたら、そのお伽話は見事に狂っちゃうからね。
:09/01/25 12:12 :SH901iC :PIdEEYAI
#763 [ゆーちん]
「ヤッちゃーん!」
「お久〜!」
相変わらずうるさい車。
康孝も相変わらずで、頭をくしゃくしゃと掻き乱してくる意地悪なところは変わらない。
後部座席に乗り込み、車はシホの家に向かう。
:09/01/25 12:13 :SH901iC :PIdEEYAI
#764 [ゆーちん]
シホに戻った途端、笑顔がどんどん溢れて来る。
そんな車内で、康孝と色んな事を話した。
「髪伸びたなー。」
「専属の美容師がいるから、他の美容師には切って貰わないの。」
「プッ。芸能人かよ。」
「前髪だけは自分で切ってたけど。」
「ふーん。相変わらずパッツン前髪で色も大人しい茶色だな。シホちゃん、って感じ。」
:09/01/25 12:15 :SH901iC :PIdEEYAI
#765 [ゆーちん]
メイクだってシホのまま。
私自身、そんな自分を気に入っていたんだ。
「のんちゃん元気?」
「おー、元気元気。彼氏できたみたいだぞ。」
「うっそぉ!色々聞きたいなぁ。」
「んじゃ早速今日の集会来いよ。また迎えに来てやるから。」
:09/01/25 12:15 :SH901iC :PIdEEYAI
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