闇の中の光
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#155 [ゆーちん]
何だかんだしていると片付けは無事終了。
散らかっていた部屋は綺麗になった。
「あぁーっ。疲れた。」
煙草に火をつけた哲夫。
「働いた後の煙草は美味いねぇ〜。」
そんなことをシミジミと言うから、なんだか笑ってしまった。
:09/01/01 16:18 :SH901iC :XAv2cR7M
#156 [ゆーちん]
「何笑ってんだよ。」
「何か、おやじ臭い。」
「お前と5つしか違わないだろ。」
ベットに座っている私の隣に、ドンッと座った哲夫。
「そうやって笑ってろ。」
「ん?」
「シホは笑った方が可愛いから。」
:09/01/01 16:19 :SH901iC :XAv2cR7M
#157 [ゆーちん]
哲夫はこうやって女を口説くんだろうか。
灰皿で煙草を消し、頬にキスをした哲夫。
「集会行くわ。」
「いってらっしゃい。」
哲夫が立ち上ると微かに弾んだベット。
振り返る事もなく、今日もまた哲夫は出掛けた。
:09/01/01 16:20 :SH901iC :XAv2cR7M
#158 [ゆーちん]
さて、私は何をしようか。
たくさん眠ったおかげで眠くはない。
体は痛いが、耐えられる。
そうだ、洗濯しよう。
新人の仕事かもしれないけど、そんなの知らない。
私だって何か仕事がないと、暇だもん。
:09/01/01 16:20 :SH901iC :XAv2cR7M
#159 [ゆーちん]
脱衣所には大きな洗濯機。
上からじゃなくて横から洗濯を入れるタイプ。
すごい。
洗濯を回している間、買い与えてもらった携帯電話を触った。
電話帳には哲夫と康孝の2件。
何かあった時、俺が電話に出なかったら康孝にかけろと哲夫に言われ、康孝の電話番号も登録してもらった。
:09/01/01 16:21 :SH901iC :XAv2cR7M
#160 [ゆーちん]
メールは0件。
着信履歴も発信履歴も今のところ0。
萌子じゃ、ありえない。
いつも誰かのメールや電話があった。
上辺だけの付き合いの友達や彼氏からの連絡があった。
だけど今は違う。
私はシホだ。
:09/01/01 16:22 :SH901iC :XAv2cR7M
#161 [ゆーちん]
あれだけ死にたかったのに、シホとして生きようと思ってる自分がいた。
それは死からの逃げなのか。
リセットされた人生を期待しているのだろうか。
私はこのままシホでいいのだろうか。
不安や疑問が襲う。
:09/01/01 16:22 :SH901iC :XAv2cR7M
#162 [ゆーちん]
あぁ、頭が痛い。
洗濯機が鳴っている。
洗い終わったんだ。
干さなきゃ。
でも頭が痛い。
なぜか、私はそのまま眠ってしまった。
あれだけ寝たのに、まだ眠いの?
変な体。
夢は見なかった。
起きた時は、また温もりに包まれていた。
:09/01/01 16:23 :SH901iC :XAv2cR7M
#163 [ゆーちん]
「哲夫。」
「…。」
「テッちゃん。」
「…。」
「テツ。」
「…。」
どれにも答えない。
「ご主人様。」
「…。」
よほど疲れていたのだろう。
私が動いても全く動かない。
:09/01/01 16:24 :SH901iC :XAv2cR7M
#164 [ゆーちん]
ベットから抜け出し、洗濯機を見に行くと、やっぱりそのままだった。
当たり前か。
哲夫が干す訳ない。
フタを開けて、洗濯物に触れた瞬間、目が覚めた。
何で?
確かに洗ったよ。
なのに、何で…乾いてるの。
:09/01/01 16:24 :SH901iC :XAv2cR7M
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