闇の中の光
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#157 [ゆーちん]
哲夫はこうやって女を口説くんだろうか。
灰皿で煙草を消し、頬にキスをした哲夫。
「集会行くわ。」
「いってらっしゃい。」
哲夫が立ち上ると微かに弾んだベット。
振り返る事もなく、今日もまた哲夫は出掛けた。
:09/01/01 16:20 :SH901iC :XAv2cR7M
#158 [ゆーちん]
さて、私は何をしようか。
たくさん眠ったおかげで眠くはない。
体は痛いが、耐えられる。
そうだ、洗濯しよう。
新人の仕事かもしれないけど、そんなの知らない。
私だって何か仕事がないと、暇だもん。
:09/01/01 16:20 :SH901iC :XAv2cR7M
#159 [ゆーちん]
脱衣所には大きな洗濯機。
上からじゃなくて横から洗濯を入れるタイプ。
すごい。
洗濯を回している間、買い与えてもらった携帯電話を触った。
電話帳には哲夫と康孝の2件。
何かあった時、俺が電話に出なかったら康孝にかけろと哲夫に言われ、康孝の電話番号も登録してもらった。
:09/01/01 16:21 :SH901iC :XAv2cR7M
#160 [ゆーちん]
メールは0件。
着信履歴も発信履歴も今のところ0。
萌子じゃ、ありえない。
いつも誰かのメールや電話があった。
上辺だけの付き合いの友達や彼氏からの連絡があった。
だけど今は違う。
私はシホだ。
:09/01/01 16:22 :SH901iC :XAv2cR7M
#161 [ゆーちん]
あれだけ死にたかったのに、シホとして生きようと思ってる自分がいた。
それは死からの逃げなのか。
リセットされた人生を期待しているのだろうか。
私はこのままシホでいいのだろうか。
不安や疑問が襲う。
:09/01/01 16:22 :SH901iC :XAv2cR7M
#162 [ゆーちん]
あぁ、頭が痛い。
洗濯機が鳴っている。
洗い終わったんだ。
干さなきゃ。
でも頭が痛い。
なぜか、私はそのまま眠ってしまった。
あれだけ寝たのに、まだ眠いの?
変な体。
夢は見なかった。
起きた時は、また温もりに包まれていた。
:09/01/01 16:23 :SH901iC :XAv2cR7M
#163 [ゆーちん]
「哲夫。」
「…。」
「テッちゃん。」
「…。」
「テツ。」
「…。」
どれにも答えない。
「ご主人様。」
「…。」
よほど疲れていたのだろう。
私が動いても全く動かない。
:09/01/01 16:24 :SH901iC :XAv2cR7M
#164 [ゆーちん]
ベットから抜け出し、洗濯機を見に行くと、やっぱりそのままだった。
当たり前か。
哲夫が干す訳ない。
フタを開けて、洗濯物に触れた瞬間、目が覚めた。
何で?
確かに洗ったよ。
なのに、何で…乾いてるの。
:09/01/01 16:24 :SH901iC :XAv2cR7M
#165 [ゆーちん]
慌てて洗濯機の操作ボタンの付近を見た。
そこには乾燥機能のついた洗濯機だと現すボタンがたくさん並んでいた。
また、信じられない事を見つけた。
干さなくても、乾かしてくれんの?
しかもシワとかになってないし…。
驚きだ。
:09/01/01 16:25 :SH901iC :XAv2cR7M
#166 [ゆーちん]
どれだけ金河夫妻が時代遅れの生活を送っていたのか痛感した。
綺麗になった洗濯物を畳み、ご飯を作った。
ちょうど酢豚が出来たところで哲夫が目を覚ました。
「いい匂い〜。」
「酢豚作った。昨日なかったのに冷蔵庫に豚肉あったから。」
:09/01/01 16:26 :SH901iC :XAv2cR7M
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