闇の中の光
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#163 [ゆーちん]
「哲夫。」
「…。」
「テッちゃん。」
「…。」
「テツ。」
「…。」
どれにも答えない。
「ご主人様。」
「…。」
よほど疲れていたのだろう。
私が動いても全く動かない。
:09/01/01 16:24 :SH901iC :XAv2cR7M
#164 [ゆーちん]
ベットから抜け出し、洗濯機を見に行くと、やっぱりそのままだった。
当たり前か。
哲夫が干す訳ない。
フタを開けて、洗濯物に触れた瞬間、目が覚めた。
何で?
確かに洗ったよ。
なのに、何で…乾いてるの。
:09/01/01 16:24 :SH901iC :XAv2cR7M
#165 [ゆーちん]
慌てて洗濯機の操作ボタンの付近を見た。
そこには乾燥機能のついた洗濯機だと現すボタンがたくさん並んでいた。
また、信じられない事を見つけた。
干さなくても、乾かしてくれんの?
しかもシワとかになってないし…。
驚きだ。
:09/01/01 16:25 :SH901iC :XAv2cR7M
#166 [ゆーちん]
どれだけ金河夫妻が時代遅れの生活を送っていたのか痛感した。
綺麗になった洗濯物を畳み、ご飯を作った。
ちょうど酢豚が出来たところで哲夫が目を覚ました。
「いい匂い〜。」
「酢豚作った。昨日なかったのに冷蔵庫に豚肉あったから。」
:09/01/01 16:26 :SH901iC :XAv2cR7M
#167 [ゆーちん]
「昨日、集会の時もらったんだ。掃除以外にも食料調達とかもしてくれんだわ。新人っつーのは。」
「ふーん。」
「何かいるもんあったら新人走らせるから遠慮すんなよ。」
「うん。」
「よし、風呂に入るか。入ってから飯だ。」
「冷めちゃうよ?」
:09/01/01 16:28 :SH901iC :XAv2cR7M
#168 [ゆーちん]
「温め直せばいいよ。シホも入るだろー?」
「…うん。」
今日も一緒にお風呂に入る。
一日の始まりはお風呂から。
そんな哲夫のペースに、私の体も合わせようとしていた。
お風呂から出るとご飯。
温め直した酢豚を美味しそうに食べてくれた。
:09/01/01 16:30 :SH901iC :XAv2cR7M
#169 [ゆーちん]
昨日は片付けをして時間を過ごした。
今日は何をして、集会までの時間を潰すのだろうか。
「テツ。」
「何だ。」
「私にも何か仕事ちょうだい。」
「仕事?」
「家にいる間、暇。料理だけじゃつまんない。」
:09/01/01 16:30 :SH901iC :XAv2cR7M
#170 [ゆーちん]
「大人しくしてろって。」
頭を撫でられた。
違う、そんな答えを望んでるんじゃない。
「体なまる。」
「んじゃ縄跳びでもしてろ。康孝が昔、縄跳びダイエットするとか言ってここに持って来たまま忘れてるんだ。だから探せばどっかに縄あるよ。」
「…やだ。」
「じゃあシホは何がしたいんだよ。」
:09/01/01 16:31 :SH901iC :XAv2cR7M
#171 [ゆーちん]
そう聞かれると何も答えが思い浮かばない。
「私も…」
「ん?」
「集会行きたい。どんなのか見たいな。」
哲夫は、本当に?大丈夫か?と笑いながら私に問う。
私は本当、大丈夫、と答えた。
「だったら着替えて化粧しろ。連れてってやるよ。」
:09/01/01 16:32 :SH901iC :XAv2cR7M
#172 [ゆーちん]
自ら行きたいと望んだ集会。
容易な気持ちだった。
人の集まりってのを見てみたい。
萌子では考えられない世界の話。
些細な好奇心を奮わせて、私は新品のコスメを使い、化粧をしたんだ。
:09/01/01 16:34 :SH901iC :XAv2cR7M
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