闇の中の光
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#222 [ゆーちん]
「私、化粧落としてくる。」
「あいよ。」
ベットに倒れ込んだ哲夫を置いて、私は洗面所に向かう。
化粧を落としてから部屋に戻ると、哲夫はいびきをかいていた。
服を脱ぎ、パジャマに着替える。
哲夫の眠る隣に潜り、うるさいいびきを聞きながら、私は眠りについた。
:09/01/03 21:37 :SH901iC :diob1dTs
#223 [ゆーちん]
翌日は約束通り美容院に行って、カラーリングをしてもらった。
落ち着いたブラウンに染まった私の髪を何度も何度も哲夫は撫でてくれた。
その日は集会に行かず、留守番をした。
そのまた翌日は、眠る哲夫を起こさないよう朝から家事をして、昼前に起きた哲夫と一緒にお風呂に入る。
:09/01/03 21:38 :SH901iC :diob1dTs
#224 [ゆーちん]
ご飯を食べ、夕方までのんびり過ごし、集会に向かう哲夫を見送った。
なぜ集会に行かないのか。
別に具体的な理由はなかった。
仲間は欲しいけど慌てなくていいって哲夫が言ってくれたから。
だから行きたい時に行く。
それでいいんだよね?
:09/01/03 21:39 :SH901iC :diob1dTs
#225 [ゆーちん]
シホになってちょうど1週間が経った。
「久しぶりに集会行ってもいい?」
私の質問に哲夫は笑って答えた。
「温かい格好してけよ。」
私の顔も自然と綻んだ。
この前のように肩を抱かれ、私たちは集会場所に向かう。
:09/01/03 21:40 :SH901iC :diob1dTs
#226 [ゆーちん]
到着した途端、哲夫への挨拶が飛び交った。
康孝が声を張り上げる。
報告者が手を挙げる。
私は黙って座っていた。
30分程すれば集会が終わり、また賑やかになった。
すると、隣から哲夫と康孝以外の声が初めて私の名前を呼んだ。
「シホさん。」
:09/01/03 21:41 :SH901iC :diob1dTs
#227 [ゆーちん]
振り向くと女の子がいた。
「はい。」
「あの、よかったらあっちで話しませんか?」
「私と?」
「ダメなら結構ですけど…」
「あ、いや…ダメじゃないですけど…」
戸惑う私に隣にいた哲夫が助け船を出してくれた。
「人見知りするけど、シホよろしくね。」
:09/01/03 21:42 :SH901iC :diob1dTs
#228 [ゆーちん]
哲夫に私を頼まれた女の子は『はい!』と笑った。
「行っていいの?」
私が問うと、哲夫は『もちろん。』と答えた。
「行きましょうシホさん。」
「…はい。」
戸惑いながらも、立ち上がり、その女の子の後をついて行った。
:09/01/03 21:43 :SH901iC :diob1dTs
#229 [ゆーちん]
1時間後、私は私を恥じていた。
いや、正確には…私は萌子に恥じていた、だ。
どうして友達の作り方を知らなかったんだろう。
どうして仲間の素晴らしさを知らなかったんだろう。
今まで、仲間がこんな素敵な事を知らなかったなんて。
萌子に、腹がたった。
:09/01/03 21:43 :SH901iC :diob1dTs
#230 [ゆーちん]
打って変わって、シホを、好きになった。
初めて出来た仲間。
無理に笑わなくていい会話。
ありのまま、楽にいられる居場所。
他愛もない会話だったけど、楽しかった、心から。
:09/01/03 21:44 :SH901iC :diob1dTs
#231 [ゆーちん]
時間を忘れ、たくさんの話をした。
ほとんどはみんなが話のを聞いていただけだったけど、夢中になって話を聞いたし、心から笑ったりもした。
感情があるって素晴らしい事だと思う。
仲間がいるって有り難い事だと思う。
:09/01/03 21:45 :SH901iC :diob1dTs
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