闇の中の光
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#276 [ゆーちん]
哲夫が苦しんでいるんだ。


私はコンビニまで走った。


息が上がる。


久しぶりに体を動かした。


なまらないように気をつけていたはずなのに、やっぱり運動不足だ。


息が苦しい。


「すみません、風邪薬どこですか?」

⏰:09/01/04 23:30 📱:SH901iC 🆔:bKxDy5AQ


#277 [ゆーちん]
だけど私より、哲夫の方が苦しいんだ。


店員に教えてもらい、即購入。


来た道を走りながら戻る。


「テツ!」


家に帰ると、『脱走すんな、バカ。』と汗だくの哲夫が笑った。


無理に笑わなくていいよ。


苦しいくせに。

⏰:09/01/04 23:31 📱:SH901iC 🆔:bKxDy5AQ


#278 [ゆーちん]
水をコップに汲み、薬を哲夫に飲ませた。


「初めての…おつかい…偉かったな…」


バカ。


無理に笑わないでよ。


何だか泣けてくる。


「シホが…買ってくれた薬だ。すぐに…治るよ。」


辞めて。


自分が苦しいのに、私に気を使わないで。

⏰:09/01/04 23:32 📱:SH901iC 🆔:bKxDy5AQ


#279 [ゆーちん]
「ありがとな…」


頭なんか撫でないで。


自分が撫でられる立場なんだよ。


私に優しくしないで…。


「哲夫、着替えた方がいいよ。」

⏰:09/01/04 23:32 📱:SH901iC 🆔:bKxDy5AQ


#280 [ゆーちん]
人を介抱するなんて初めてだから、服を着替えさすのは私にとって大仕事。


やっと着替えが終わった頃には、薬が効いてきたらしく哲夫は眠ってしまった。


このまま私も寝るってわけにはいかない。


哲夫の、看病しなくちゃ。

⏰:09/01/04 23:33 📱:SH901iC 🆔:bKxDy5AQ


#281 [ゆーちん]
テレビや漫画の見よう見真似。


冷たいタオルをおでこに乗せて、部屋を温かくする。


哲夫を起こさないように体温計で熱を計ると、38.9度もあった。


もっと汗をかかせなきゃ。


でも、もし風邪じゃなかったら…


もし、この看病の方法が間違ってたら…

⏰:09/01/04 23:34 📱:SH901iC 🆔:bKxDy5AQ


#282 [ゆーちん]
哲夫、死なないで。


そんな事ばかり願っていた。


「テツ…」


とりあえず、私にできる事をしよう。


こまめに冷たいタオルに変えて、温かい格好をさせれば大丈夫だよ。


萌子は、そうしてきた。


体調を崩したら、自分で自分を看病した。

⏰:09/01/04 23:35 📱:SH901iC 🆔:bKxDy5AQ


#283 [ゆーちん]
大丈夫。


私は萌子じゃなくて、シホだけど、きっと大丈夫。


哲夫の看病、できる。


「哲夫、頑張ってね。」


主人の回復を祈るペットは、その夜、一睡もせずに哲夫の看病をした。

⏰:09/01/04 23:35 📱:SH901iC 🆔:bKxDy5AQ


#284 [ゆーちん]
タオルを変えて、汗だくの服も着替えさせて、体温を計る。


鳥が鳴く頃、37.5度まで下がった時には嬉しくて一気に緊張の糸がほどけた。


「よかったー。」


思わず哲夫の頭を撫でた。


綺麗な金色頭。


怖い顔して、寝顔は子供みたいな顔。

⏰:09/01/04 23:36 📱:SH901iC 🆔:bKxDy5AQ


#285 [ゆーちん]
昼前。


普段の起床時間。


哲夫は自然に目を覚ました。


私が作ったお粥を完食し、薬を飲み、もう一度眠ると言った。


「お前、寝た?」


『寝たよ。』と嘘をついた。


一睡もしないで看病してたの、なんて恩着せがましい事は言わない。

⏰:09/01/04 23:37 📱:SH901iC 🆔:bKxDy5AQ


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