闇の中の光
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#310 [ゆーちん]
自殺失敗から1ヵ月以上が経った。
波風立たない生活を過ごしていた私と哲夫。
だけど急に波が荒れた。
風が吹いた。
些細な事がきっかけで、事件が起こった。
私を苦しませた、ちょっとした事件が。
:09/01/06 17:21 :SH901iC :jYt3qmaQ
#311 [ゆーちん]
その日もいつものように集会に来ていた。
のんちゃん達と、あの芸能人がカッコイイとか不細工だとか、そんな話をしていた。
他愛もない、楽しい会話。
:09/01/06 17:22 :SH901iC :jYt3qmaQ
#312 [ゆーちん]
「殺すぞっ!」
その場に相応しくない言葉が響いたのは、のんちゃん達と笑いあったすぐの事だった。
私たちのグループの隣にいた男の子2人が言い争いを始めた。
じゃれあいなんて日常茶飯事。
だけど、これはじゃれあいなんかじゃない。
…喧嘩だ。
:09/01/06 17:27 :SH901iC :jYt3qmaQ
#313 [ゆーちん]
「あぁ?お前もっかい言ってみろ!」
「調子乗ってんじゃねぇぞ、てめぇ!」
初めてチーム内での喧嘩を目の当たりにした。
驚きの次に私を襲ったのは、恐怖だった。
「殺されてぇのか!」
「あぁ?」
:09/01/06 17:27 :SH901iC :jYt3qmaQ
#314 [ゆーちん]
その大声と怒鳴り声。
私をシホから萌子に戻させた。
父から受けた虐待が脳裏に浮かぶ。
やめて、怖い。
声を、出さないで。
震える体は、喧嘩している2人の方を向いて動かない。
見たくないのに、目が2人から離れない。
:09/01/06 17:28 :SH901iC :jYt3qmaQ
#315 [ゆーちん]
「ちょっと、やめなよー。」
のんちゃんたちが慌てて止めに入る。
が、止められれば止められるほど興奮してしまうのだろう。
声が余計に荒くなった。
「ふざけんな!離せ!」
「お前なんか殺してやるよ!」
:09/01/06 17:31 :SH901iC :jYt3qmaQ
#316 [ゆーちん]
私はシホだよ。
萌子じゃない。
暴力なんか振るわれた事ない。
なのに、なんで体が震えんの。
シホには何のトラウマもないじゃない。
トラウマがあるのは萌子だよ。
私は…シホなんだよ?
:09/01/06 17:32 :SH901iC :jYt3qmaQ
#317 [ゆーちん]
「いや…やだよ…」
無意識に呟いていた。
恐くて恐くて、息がうまくできない。
「シホちゃん?」
みんなが私の異変に気付いた時には、苦しくて苦しくて息ができなかった。
「助けて…テツ…」
:09/01/06 17:33 :SH901iC :jYt3qmaQ
#318 [ゆーちん]
知らないうちに涙も出ていた。
喧嘩する2人と、それを止める人の声。
私を心配する声。
そして…
「おい!シホ!」
哲夫の声も聞こえた。
:09/01/06 23:35 :SH901iC :jYt3qmaQ
#319 [ゆーちん]
哲夫の匂いが鼻につく。
近くに来てくれたんだ。
「シホ、おい!どうした?」
駆け付けてくれた哲夫は、私を抱き抱えた。
やっと、やっと目が喧嘩する2人から離れた。
目に映るのは、哲夫の顔だけ。
:09/01/06 23:36 :SH901iC :jYt3qmaQ
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