闇の中の光
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#319 [ゆーちん]
哲夫の匂いが鼻につく。


近くに来てくれたんだ。


「シホ、おい!どうした?」


駆け付けてくれた哲夫は、私を抱き抱えた。


やっと、やっと目が喧嘩する2人から離れた。


目に映るのは、哲夫の顔だけ。

⏰:09/01/06 23:36 📱:SH901iC 🆔:jYt3qmaQ


#320 [ゆーちん]
「テツ…怖い…」

「何?俺が怖いの?」


慌てている哲夫を見たのは初めてで、なんだか余計に涙が出てしまった。


首を横に振る私を見た哲夫は、すぐに喧嘩している2人に言った。

⏰:09/01/06 23:36 📱:SH901iC 🆔:jYt3qmaQ


#321 [ゆーちん]
「お前ら、ちょっと静かにしろ。」


哲夫の低くゆっくりした言葉に、さっきまで怒り狂ってた2人は悔しそうに言い合いを辞めた。


一気に、チーム全員の目が私と哲夫に向く。

⏰:09/01/06 23:37 📱:SH901iC 🆔:jYt3qmaQ


#322 [ゆーちん]
「康、車出してくれ。」

「おっ、おう。」


私は哲夫に抱っこされ、康孝の車に向かった。


『シホちゃん。』と、のんちゃんたちの声が聞こえたけど、息苦しくて何も言い返せなかった。


何でこんなに苦しいんだろう。


死にそうに、苦しい。

⏰:09/01/06 23:38 📱:SH901iC 🆔:jYt3qmaQ


#323 [ゆーちん]
車に乗り込み、哲夫は家まで走らるよう康孝に言った。


うるさい車が走り出す。


「テツ…」


息が、できないんだ。


それすら伝えられない。


名前を呼ぶのに必死。


「シホ…死ぬなよ。」

⏰:09/01/07 15:17 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#324 [ゆーちん]
さっきまで堂々としていた哲夫の表情が一気に弱くなった。


涙でぼやけてよく見えないけど、でも絶対…哲夫は焦っている。


哲夫に迷惑かけている。


「ごめ…ね…」

「いいから。無理に喋んなよ。」

⏰:09/01/07 15:18 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#325 [ゆーちん]
涙が止まらない。


苦しい。


「おい、康。家へ連れて帰るより病院のがいいのか?」

「わかんねぇよ。すげぇ苦しそうだし…もしかして過呼吸じゃね?」


…過呼吸?


あぁ、そうだ。


過呼吸だよ。


萌子の時、よくなったじゃん。


過呼吸なら、対処法はわかる。

⏰:09/01/07 15:19 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#326 [ゆーちん]
「袋…」

「え?」


哲夫に聞き返され、もう一度『袋。』と答えるだけでも苦しい。


「袋なんかねぇよ。康、お前持ってる?」

「ない。」


私は両手を口元にあて、わずかながらも二酸化炭素を吸う努力をした。

⏰:09/01/07 15:20 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#327 [ゆーちん]
「え、何してんだよ。吐きてぇの?」

「哲夫、それたぶん二酸化炭素吸ってんだわ。過呼吸って、体中の二酸化炭素が足りなくて苦しくなる症状だから。」


康孝の説明に、うんうんと頷くと哲夫は不安な顔のまま私を見ていた。

⏰:09/01/07 15:21 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


#328 [ゆーちん]
所詮は自分の小さな手の平。


すき間だらけで、二酸化炭素なんて気休め程度。


苦しくて、死にそうだ。


死にたくないなんて思ってしまった私は、愚か者だろうか?

⏰:09/01/07 15:21 📱:SH901iC 🆔:K673H/..


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