闇の中の光
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#331 [ゆーちん]
哲夫の質問は無視した。
私を覗き込む彼の顔を、必死に手を伸ばし、自分の顔に押し付けた。
「はぁ?」
康孝から見ればいきなりのキス。
私は康孝の目も気にせず、哲夫の口を広げた。
:09/01/07 15:24 :SH901iC :K673H/..
#332 [ゆーちん]
息を送り、また哲夫の口の中の空気を吸う。
哲夫は驚き、唇を離してしまった。
「シホ?いきなりキスとか意味わかんねぇんだけど。しかも舌じゃなくて息入れてくるって、どういう事だよ!」
:09/01/07 15:24 :SH901iC :K673H/..
#333 [ゆーちん]
照れてんのか怒ってんのかわかんないけど、哲夫は笑ってた。
すると康孝はいきなり哲夫の頭を掴み、私に押し当てた。
「わかった!テツ、お前の口が袋変わりだ。キスじゃねぇ。お前が二酸化炭素送り込んでやればいいんだ。」
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#334 [ゆーちん]
康孝、バカに見えて頭いいんだ…。
助かった。
哲夫は康孝に言われた通り、息を吐いてくれた。
それは私に二酸化炭素を与えてくれているのと同じで、私を救ってくれる。
しばらくすると涙が止まり、息も落ち着いて来た。
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#335 [ゆーちん]
哲夫の口を離し、酸素を吸った。
うん、もう大丈夫かな。
「シホ、もういいのか?」
「うん、ありがと。」
胸を撫で下ろす2人。
「ヤッちゃんも、ありがとうね。」
「どいたま。」
康孝に頭を撫でられ、生きた心地を感じた。
:09/01/07 15:27 :SH901iC :K673H/..
#336 [ゆーちん]
「それにしても康、よく過呼吸なんてわかったな。」
「あぁ、漫画で見たから。」
…なんだ。
漫画が情報源かよ。
でも、その漫画の情報を覚えてくれていたおかげで私は助かった。
ありがとね、康孝。
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#337 [ゆーちん]
「そんじゃ、もう大丈夫だろうから俺帰るわ。」
そう言って康孝が帰ったすぐ、家の中の電気は真っ暗に消された。
「哲夫、ごめん。迷惑かけて…」
いつものように私の隣に潜り込み、ベットに寝転がると、哲夫は私を包み込んだ。
:09/01/07 15:28 :SH901iC :K673H/..
#338 [ゆーちん]
「迷惑じゃねぇよ。でもすっげぇ心配した。」
「ごめんなさい。」
哲夫の腕の中はいい匂いで、温かくて、気持ち良い。
「謝るな。俺が悪い。ごめんな。」
哲夫が謝る理由なんか1つもないのに…何で謝ってんの?
:09/01/07 15:29 :SH901iC :K673H/..
#339 [ゆーちん]
「怖かっただろ。ごめん。」
その優しい言葉に、おもわず涙が出そうになった。
うん、怖かったよ。
だけどそんなの素直に言えなくて…ただ黙って、哲夫の腕の中で目を閉じる事しかできなかった。
:09/01/07 15:29 :SH901iC :K673H/..
#340 [ゆーちん]
過呼吸は、萌子の時に何度も経験した。
そのたび、自分で口に袋をあてて対処した。
あんなの慣れっこだったのに、久しぶりだったもんだから。
それにシホとしての過呼吸は初めてで…正直戸惑ったんだ。
自分で自分の事、わかんなくなってきてるかも。
自分が自分を理解できていない…。
:09/01/07 15:32 :SH901iC :K673H/..
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