闇の中の光
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#409 [ゆーちん]
翌25日。


クリスマスパーティーは【楽しい】以外の言葉があったら教えてもらいたい程のものだった。


ずっと笑ってた。


昨日より笑ってた。


本当、楽しい。


パーティーから帰ってくると、ほろ酔いだった哲夫はビンゴゲームで当たったおもちゃで大笑いしながら遊んでいた。

⏰:09/01/12 20:59 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#410 [ゆーちん]
遊ぶのに飽きると私をベットに誘い、強く抱きしめて眠りについた。


こんな心トキめくクリスマスは初めてで、何か罰が当たりそうな気さえする。


このままでいたいな。


でも、人生そう上手くいかないんだよ。


わかってる。


楽あれば苦あり。

⏰:09/01/12 21:01 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#411 [ゆーちん]
人生ってうまい具合にプラスマイナスゼロになってるんだ。


過去がマイナスすぎて、現在がプラスなら、未来はゼロでいいじゃない。


なのに、どうしてだろう。


私の未来はプラスでもゼロでも無い気がする。

⏰:09/01/12 21:04 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#412 [ゆーちん]
そう思わずにいられないぐらいな現在だった。


…なんでだろう。


良い予感は当たらないのに、悪い予感だけが的中する。


その悪い予感が当たったのは4日後だった。

⏰:09/01/12 21:05 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#413 [ゆーちん]
それは、本当に突然だった。


12月29日の夜、いつものように集会に来ていて、私はのんちゃん達と話をしていた。


のんちゃんがお笑い芸人の話をして、みんなが大笑いしていた。


「おいっ!」

「抑えろ!」


哲夫達がいる所が急に騒がしくなった。

⏰:09/01/12 21:06 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#414 [ゆーちん]
何事だと、みんなの視線が動く。


人が多くてよく見えない。


「ふざけんなっ!」

「やめろ!」


…喧嘩?


心臓が痛くなる。


喧嘩なんか、もう見たくないし聞きたくない。


私の体が強張った。

⏰:09/01/12 21:06 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#415 [ゆーちん]
「ウチら、様子見て来るよ。」

「あ、じゃあ私シホちゃんとここで待ってる。」

「うん。」


強張る私の手を、そっと握ってくれたのはのんちゃんだった。


のんちゃんと私を残し、みんなが様子を見に向かった。

⏰:09/01/12 21:08 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#416 [ゆーちん]
「のんちゃん…ありがと。ごめんね。」

「気にするなぁ〜!」


のんちゃんのえくぼが、少しだけ私の心を落ち着かせてくれた。


あの喧嘩事件以来、大声が苦手なんだと知ってもらえたらしく、少しでも怒鳴り声が聞こえるとみんな心配してくれる。


本当、ありがたい仲間達。

⏰:09/01/12 21:09 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#417 [ゆーちん]
「てゆーか聞いてくれる?私この前、服買ったのね。で、いつものサイズ買ってぇ、いざ着てみたら…入らないの!太っちゃったよ〜マジでショックでかい。」


少しでも気を紛らわそうとしてくれるのんちゃん。


感謝しても感謝しきれないね。

⏰:09/01/12 22:14 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#418 [ゆーちん]
「…太ったようには見えないけど。」

「嬉しい事言ってくれんねー。でも太っちゃったんだよぉ。シホちゃん何かいいダイエット方法知らない?」

「んー…」

「あぁ、シホちゃんみたいな華奢っ子はダイエット経験ないか!私のこの肉、シホちゃんにあげたいよ〜。」

⏰:09/01/12 22:14 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#419 [ゆーちん]
「…いらないよぉ。」

「何で?クリスマスプレゼントって事で。」

「やだー。」

「アハハ。」


えくぼが可愛いのんちゃん。


手を握ってくれたのんちゃん。


おかげで、ちょっと落ち着いた。

⏰:09/01/12 22:15 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#420 [ゆーちん]
…と、思ったのはつかの間だった。


「キャーッ!」


その悲鳴と共に、急に騒がしくなり、みんなが慌ただしく動き出した。


「えっ、何?」


のんちゃんの手に力が入る。


私も思わず強く握り返してしまった。

⏰:09/01/12 22:16 📱:SH901iC 🆔:4O9J1hkU


#421 [さき]
超気になります(>_<)
がんばってくださいイ

⏰:09/01/13 00:48 📱:W61SH 🆔:W9CWv442


#422 [ゆーちん]
▲▽▲▽▲▽▲

コメントありがとうございますm(__)m

更新します

▲▽▲▽▲▽▲

⏰:09/01/13 15:13 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#423 [ゆーちん]
状況が読めない。


今、何が起こってる?


たくさんの怒鳴り声、たくさんの悲鳴、たくさんの笑い声、たくさんの…哲夫の声。


「お前ら逃げろ!」


顔は見えなくても、今の声は哲夫だ。

⏰:09/01/13 15:14 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#424 [ゆーちん]
逃げろって?


何から逃げなくちゃいけないの?


「ねぇシホちゃん。何か様子おかしくない?」

「…。」


怖い。


苦しい。


どうしよう。

⏰:09/01/13 15:14 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#425 [ゆーちん]
「あいつら…誰?」


のんちゃんが言う【あいつら】が目の前に現れた時、何となくわかってきた。


バットや鉄パイプ持ってる人って今時いるんだ…。


恐かったくせに頭の中は妙に冷静だった。

⏰:09/01/13 15:15 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#426 [ゆーちん]
知らない男たちが私たちの方に近付いてくる。


「おい!女は逃げろ!」


そんな声が聞こえた。


康孝の声だったような気がしたけど…もう、無理だった。


私とのんちゃんは、知らない男たちに囲まれていた。

⏰:09/01/13 15:16 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#427 [ゆーちん]
「てめぇら誰?」


のんちゃんが聞いた。


「あぁ?」

「何の用?」


きっと、大声あげて、威嚇したいに決まってる。


だけどのんちゃんは冷静を保ちながら、男たちを睨んでいた。


「喧嘩、売りにきた。」


すると男がいきなり殴り掛かって来た。

⏰:09/01/13 15:16 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#428 [ゆーちん]
何とかかわしたが、男達が本気だって事が伝わったせいで急に恐さが増した。


「辞めて!」

「やだね。女だろうが俺たちは手加減しねぇぞ?」


そう言った瞬間、バットを持った男がのんちゃんのお腹を殴った。


「うっ…」

⏰:09/01/13 15:17 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#429 [ゆーちん]
倒れ込んだのんちゃんを見て、男たちは笑ってる。


「のんちゃん!」

「はい、雑魚一匹片付いた。弱いな〜、女は。次はお前だよ?おちびちゃん。」


鉄パイプが私の右腕に飛んで来た。


少ししか当たらなかったけど、たまらなく痛かった。

⏰:09/01/13 15:18 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#430 [ゆーちん]
痛い。


痛い。


痛い。


「ギャハハハ!さすが雑魚だな。弱すぎだろ。」

「こいつら拉致ろうぜ。」

「あ、そうだな。」


気を失っているのんちゃんを、男が連れて行こうとした。

⏰:09/01/13 15:18 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#431 [ゆーちん]
「やだ!ダメ、やめて!」


痛い腕を押さえ、必死に抵抗したら太ももを蹴られて、うずくまってしまった私。


その間にも、のんちゃんが連れて行かれそうになる。


「やだー!助けてー!」


大声を出したが、辺りがうるさすぎて響かない。


「ガキは黙ってろ!」

⏰:09/01/13 15:19 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#432 [ゆーちん]
お腹を蹴られた。


久しぶりだった。


びっくりした。


自分を守る方法を、まだ体が覚えていたなんて。


体を丸めて、身を守る私。


「ギャハハハハ。ますます小さくなりやがった!」


楽しそうに私を蹴る男。

⏰:09/01/13 15:20 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#433 [ゆーちん]
痛い。


体中痛いのなんて、久しぶりだ。


「おい、ガキはいらねぇ。この女一人でいい。行くぞ。」


その声で、私に蹴る足が止まった。


苦しい。


力を振り絞り起き上がると、本当にのんちゃんが連れて行かれていた。


ヤバイ。


助けなきゃ。

⏰:09/01/13 15:20 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#434 [ゆーちん]
起き上がり、私は辺りを見渡した。


すると…


「シホちゃん!」


そう呼びながら康孝が私の方に走ってきてくれた。


「康!助けて!」

「やられたの?お前、何で逃げなかったんだよ!」

⏰:09/01/13 15:21 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#435 [ゆーちん]
「そんなことより、のんちゃんが連れてかれた!」

「のんちゃん…望実?」

「あっち!」


遠くの方で、かすかに見えるのんちゃんをさらった男達。


「お願い!のんちゃん助けて!私なら大丈夫だから。」

「本当か?安全なとこに逃げろよ?」

「わかった。康、早く行って!」

⏰:09/01/13 15:22 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#436 [ゆーちん]
康孝はのんちゃんをさらった奴らの方に向かって、走って行った。


お願い。


のんちゃんを助けて。


そう願いながら、私自身も逃げようと思い、立ち上がった。

⏰:09/01/13 15:23 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#437 [ゆーちん]
やばい、足が痛くて上手く歩けない。


でも早く逃げないと、またやられる。


足を引きずりながら必死に歩いた。


すると、後ろから哲夫の声がした。


「シホ!」

「哲夫!」


哲夫の顔中、傷だらけだった。

⏰:09/01/13 15:23 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#438 [ゆーちん]
「シホ、殴られたの?」

「私は大丈夫。それより哲夫は…」

「俺は無傷。お前、誰にやられたか覚えてるか?」

⏰:09/01/13 15:24 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#439 [ゆーちん]
それのどこが無傷なのよ。


「覚えてない。」

「くっそ。マジごめんな。てこずってなかなかシホのとこ行けなくて。」

「それより、のんちゃんがさらわれちゃったの…今、康孝が助けに行ってくれた。哲夫ものんちゃん助けに行って来て。」

⏰:09/01/13 15:24 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#440 [ゆーちん]
「望実が?」

「うん。お腹をバットで殴られて気絶しちゃったの、のんちゃん。」

「バット?あいつら人間腐ってんな!」


哲夫が怒っていた。


「私なら大丈夫だから、のんちゃん助けに‥」

「大丈夫じゃねぇだろ?つか、康孝が助けに行ったんなら絶対大丈夫だ。」

⏰:09/01/13 15:25 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#441 [ゆーちん]
「でも…」

「ったくよぉ、どうなってんだよコレ。いきなりで俺も訳わかんねぇ。」


哲夫に抱っこされ、私たちは少し離れたところに移動し始めた。


と、その時だった。

⏰:09/01/13 15:26 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#442 [ゆーちん]
「萌子?」


久しぶりに聞く名前。


私と哲夫は、思わず声の主の方に振り返った。


そこにいたのは、


「…宗太郎。」


萌子の元カレだった。

⏰:09/01/13 15:26 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#443 [ゆーちん]
やめて。


来ないで。


話し掛けないで。



「萌子、何してんの?」


宗太郎が近付いて来ると、哲夫が言った。

⏰:09/01/13 15:27 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#444 [ゆーちん]
「萌子って誰?つか、お前が誰?近寄んじゃねぇぞガキが。」


哲夫の威嚇に、宗太郎が怒鳴った。


「うるせぇ!お前には関係ねぇんだよ。俺は萌子に用があるんだ。」


いつの間にか、私の目から涙が溢れていた。

⏰:09/01/13 15:27 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#445 [ゆーちん]
「だから萌子って誰?こいつは萌子じゃねぇよ。失せろ。」


哲夫がそう言ったはずなのに、宗太郎は構わず私に話し掛けて来た。

⏰:09/01/13 15:28 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#446 [ゆーちん]
「なぁ、萌子!お前こんなとこで何してんの?地元じゃお前がいなくなったって、みんな騒いでるぞ!」


…みんなって、誰。


…騒ぐって、何。


どうせ…上辺だけなくせに。

⏰:09/01/13 15:28 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#447 [ゆーちん]
「俺だって心配したんだ。連絡つかないし…でも良かった。ちゃんと生きてて!」


…生きてて?


「死んだよ!」

「え?」

「萌子は死んだよ。私、萌子じゃない。」

「何言ってんの?」

「どっか行って!私は萌子じゃないんだから!」


泣き叫ぶ私に、哲夫が『シホ。』と優しく名前を呼んでくれた。

⏰:09/01/13 15:29 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#448 [ゆーちん]
どうしよう。


また苦しい。


「行くぞ?」


小さな声で私に問う哲夫。


「うん。」


哲夫が歩き出す。


すると宗太郎が走ってくる足音が聞こえた。


「おいっ!」

⏰:09/01/13 15:29 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#449 [ゆーちん]
宗太郎が哲夫の肩に手をかけて、私は振り落とされた。


次の瞬間、違う温もりが私を包んでいた。


「会いたかった、萌子。」


離して。


宗太郎になんか抱きしめられたくない。


私は萌子じゃない。


宗太郎じゃなくて、哲夫に抱きしめられたいの。


「やだ…」

⏰:09/01/13 15:30 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#450 [ゆーちん]
「おいっ!」


今度は哲夫が宗太郎の肩に手をかけた。


私は宗太郎の腕から開放され、すぐにま哲夫に抱っこされた。


「ふざけんな!失せろ。」


哲夫が走りだす。


もう宗太郎は追い掛けてこなかった。

⏰:09/01/13 15:30 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#451 [ゆーちん]
どこに逃げたのかわかんない。


ずっと哲夫の腕の中で泣いていたから。


「シホ、おい。大丈夫か?」

「て…おっ…苦し…」

「過呼吸?」


たぶん。


私は頷いた。

⏰:09/01/13 15:31 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#452 [ゆーちん]
すぐに口を塞がれ、哲夫の二酸化炭素を吸った。


この前よりも治るのに時間がかかった。


頭が余計な事を考えているからかな。


さっきの宗太郎の顔と声が忘れらんない。


何で今更現れんのよ。


萌子の事、思い出したくないのに。


苦しいよ…体も心も。

⏰:09/01/13 15:31 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#453 [ゆーちん]
「シホ?」

「もう…大丈夫。」

「本当か?」

「うん。」


やっと落ち着いた。


だけど涙が止まらない。


「もう泣くな。お前、ちょっとここで待ってろ。」

「うん。」

「すぐに戻るから。」


頷く私を抱きしめてから、哲夫は走り去った。

⏰:09/01/13 15:32 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#454 [ゆーちん]
ここ、どこだろう。


寒い。


痛い。


眠い。


少し、横になろう。


冷たい地面に寝転がり、空を見上げた。


汚い空。


今日は星が1つも出ていない。


真っ暗な空だ。


暗闇が広がっている空。


気味悪い。

⏰:09/01/13 15:32 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#455 [ゆーちん]
次の瞬間にはシーンが変わっている。


前にもこんな事あったよね。


空を見ていたはずなのに、次の瞬間には家の天上が映る。


あぁ、そっか。


あれは自殺失敗した時だ。


て、ことはそろそろ哲夫が覗き込んで来るよ。

⏰:09/01/13 15:34 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#456 [ゆーちん]
「あ、起きた。わかるか、シホ?」


ほらね。


「哲夫…」


ベットから体を起こすと、見慣れた景色が広がる。


「家だから安心しろよ。」


哲夫は吸っていた煙草を消すと、私の隣に潜り込んで来た。


「今日は疲れたな。」

⏰:09/01/13 15:35 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#457 [ゆーちん]
時計を見ると、本来ならいつも私達が眠りにつく時間。


「ねぇ哲夫。のんちゃんは?」

「望実なら無事だ。康孝が助けた。」

「本当?」

「意識も戻ったし、普通に元気だったから康孝が家まで送ってった。」

「よかった…」

⏰:09/01/13 15:35 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#458 [ゆーちん]
心から安心した。


のんちゃんが助かって、本当に本当によかったよ。


「おいで。」


座っていた私を寝かし、哲夫の抱き枕変わりになった。


「哲夫、怪我してる。」

「これのどこが怪我?俺、無敵だもん。怪我なんかしねぇよ。」

⏰:09/01/13 15:36 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#459 [ゆーちん]
頬に傷を負っていた場所に絆創膏が貼ってあった。


「嘘つき。だって絆創膏貼ってあるじゃ‥」

「あぁ、これ?これはアレだよ。流行の最先端シール。」


笑ってしまった。


「何それ。」


哲夫も笑っていた。

⏰:09/01/13 15:37 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#460 [ゆーちん]
「心配すんな。余裕だから。」


私を抱きしめる力が強くなった。


哲夫の匂いや温かさが私を包む。


「ねぇ。」

「ん?」

「何だったの?一体…」

「その話はまた明日。俺眠いわ。」


さっきまでの騒ぎが嘘のようにこの部屋は静かだ。

⏰:09/01/13 15:37 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#461 [ゆーちん]
「やだ!気になって眠れないもん。」

「もぉ〜、めんどくせっ。」

「何だったの?」

「ただの殴り込みだよ。どこの奴らかは忘れたけど、前にあそこのチームと揉めてさ。向こうの頭と俺で話し合って和解したんだけど、どうやら頭が変わったらしいんだわ。」

⏰:09/01/13 15:38 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#462 [ゆーちん]
「向こうのリーダーが変わったから、哲夫と前のリーダーの和解なんて関係ない…みたいな?」

「まさに、それ。不意打ちすぎだから、女や新人はとりあえず逃がしたんだけど…何でお前ら逃げてなかったんだよ。」

⏰:09/01/13 15:38 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#463 [ゆーちん]
状況把握が遅くて逃げ遅れちゃったんだ、私とのんちゃん。


私のせいで、のんちゃんまで痛い思いさせちゃって…。


「…ごめんなさい。」

「どこ叩かれた?」

「腕とか…お腹蹴られたり。」


すると哲夫は急に体を起こし、私の服を脱がせた。

⏰:09/01/13 15:39 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#464 [ゆーちん]
「哲夫?」

「…うわ。本当だ。痛かっただろ?」


腫れたり青くなったりしている。


久しぶりにこんな汚い自分の肌を見て、また苦しくなった。


「ごめんな。助けてやれなくて。」


もう一度服を着せ、腫れている部分を撫でてくれた。

⏰:09/01/13 15:39 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#465 [ゆーちん]
再び寝転がった哲夫。


「哲夫のせいじゃない。」

「俺らのバカ騒ぎに、シホまで巻き込んでさ。本当、悪い。」


抱きしめられると殴られた腕が痛かった。


だけど痛いなんて言わない。

⏰:09/01/13 15:40 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#466 [ゆーちん]
このままこうしていたいから。


そう願ってしまうのは、ダメなことなのかな?


シホのままでいるのは、いけない事なのかな?


「なぁシホ。あの男…向こうのチームの奴だった。」

「…宗太郎?」

「シホの事泣かしたから殴ろうかと思ったのに、誰かが呼んだ警察が来ちゃって…みんな散らばって逃げたんだ。」

⏰:09/01/13 15:40 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#467 [ゆーちん]
哲夫は続けた。


「今回は警察のせいで解散したけど、白黒ハッキリさすために、あいつらはまた殴り込みに来ると思う。俺らもこのままやられっぱなしは嫌だし。だから近々また騒ぐと思う。その時は女無しで行くからさ…だからシホは留守番な。」

⏰:09/01/13 15:41 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#468 [ゆーちん]
何も言えない。


哲夫が誰かに殴られたり、誰かを殴ったりするのは嫌だ。


だけどそんなのを嫌がる権利なんて私にはない。


「うん…」

「なぁシホ?」

「何?」

「お前はシホだからな?変な事考えんなよ?」

⏰:09/01/13 15:42 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#469 [ゆーちん]
そう言ってもらえて嬉しかった。


宗太郎の事、考えたくない。


あいつを思い出すと、私はシホじゃなくなるから。


金河萌子の私になっちゃうから。


「おやすみ。」

「…うん、おやすみ。」

⏰:09/01/13 15:43 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#470 [ゆーちん]
哲夫はすぐに眠りについた。


私は寝息を立てる哲夫に抱かれ、しばらく考えていた。


宗太郎の事は考えちゃだめ。


わかってる。


だけど頭から離れらんないんだよね。

⏰:09/01/13 15:43 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#471 [ゆーちん]
私、このまま哲夫と一緒にいていいのかな?


哲夫に、昔の事、話した方がいいかな?


っていうか…聞いてもらいたいのかも。

⏰:09/01/13 15:43 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#472 [ゆーちん]
哲夫さ、いつかは聞いてくれるって言ったよね?


それが、今なんだ。


いつか、が、今なんだよ。


明日、目が覚めたら必ず話そう。


ゆっくりと思い出して、哲夫に聞いてもらおう。


哲夫に聞いてもらいたい。

⏰:09/01/13 15:44 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


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