闇の中の光
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#440 [ゆーちん]
「望実が?」

「うん。お腹をバットで殴られて気絶しちゃったの、のんちゃん。」

「バット?あいつら人間腐ってんな!」


哲夫が怒っていた。


「私なら大丈夫だから、のんちゃん助けに‥」

「大丈夫じゃねぇだろ?つか、康孝が助けに行ったんなら絶対大丈夫だ。」

⏰:09/01/13 15:25 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#441 [ゆーちん]
「でも…」

「ったくよぉ、どうなってんだよコレ。いきなりで俺も訳わかんねぇ。」


哲夫に抱っこされ、私たちは少し離れたところに移動し始めた。


と、その時だった。

⏰:09/01/13 15:26 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#442 [ゆーちん]
「萌子?」


久しぶりに聞く名前。


私と哲夫は、思わず声の主の方に振り返った。


そこにいたのは、


「…宗太郎。」


萌子の元カレだった。

⏰:09/01/13 15:26 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#443 [ゆーちん]
やめて。


来ないで。


話し掛けないで。



「萌子、何してんの?」


宗太郎が近付いて来ると、哲夫が言った。

⏰:09/01/13 15:27 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#444 [ゆーちん]
「萌子って誰?つか、お前が誰?近寄んじゃねぇぞガキが。」


哲夫の威嚇に、宗太郎が怒鳴った。


「うるせぇ!お前には関係ねぇんだよ。俺は萌子に用があるんだ。」


いつの間にか、私の目から涙が溢れていた。

⏰:09/01/13 15:27 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#445 [ゆーちん]
「だから萌子って誰?こいつは萌子じゃねぇよ。失せろ。」


哲夫がそう言ったはずなのに、宗太郎は構わず私に話し掛けて来た。

⏰:09/01/13 15:28 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#446 [ゆーちん]
「なぁ、萌子!お前こんなとこで何してんの?地元じゃお前がいなくなったって、みんな騒いでるぞ!」


…みんなって、誰。


…騒ぐって、何。


どうせ…上辺だけなくせに。

⏰:09/01/13 15:28 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#447 [ゆーちん]
「俺だって心配したんだ。連絡つかないし…でも良かった。ちゃんと生きてて!」


…生きてて?


「死んだよ!」

「え?」

「萌子は死んだよ。私、萌子じゃない。」

「何言ってんの?」

「どっか行って!私は萌子じゃないんだから!」


泣き叫ぶ私に、哲夫が『シホ。』と優しく名前を呼んでくれた。

⏰:09/01/13 15:29 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#448 [ゆーちん]
どうしよう。


また苦しい。


「行くぞ?」


小さな声で私に問う哲夫。


「うん。」


哲夫が歩き出す。


すると宗太郎が走ってくる足音が聞こえた。


「おいっ!」

⏰:09/01/13 15:29 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


#449 [ゆーちん]
宗太郎が哲夫の肩に手をかけて、私は振り落とされた。


次の瞬間、違う温もりが私を包んでいた。


「会いたかった、萌子。」


離して。


宗太郎になんか抱きしめられたくない。


私は萌子じゃない。


宗太郎じゃなくて、哲夫に抱きしめられたいの。


「やだ…」

⏰:09/01/13 15:30 📱:SH901iC 🆔:4gcR8RAo


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