闇の中の光
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#511 [ゆーちん]
「はいはい、わかったから。もう泣くなー。」
「子供扱いするなっ。」
「だって子供じゃん。まだ17なのにさ、こんなちっこい体で…でっかい荷物抱えちゃって。可哀相だよ、本当。」
「同情なんか、いらないよ。」
「お?同情するなら金をくれってやつ?金ならいくらでも‥」
:09/01/16 15:17 :SH901iC :GhjenJ72
#512 [ゆーちん]
「金なんかいらないよ。」
泣き顔のまま、哲夫の笑顔を見上げた。
答えのわからなかった感情が、爆発した。
「哲夫が欲しいよ。」
「…俺?」
「好きなんだよ、哲夫が。」
泣きすぎて、上手く言えたかわかんない。
:09/01/16 15:18 :SH901iC :GhjenJ72
#513 [ゆーちん]
だけどちゃんと聞こえたらしく、哲夫は笑いながら答えてくれた。
「俺も好きだよ、シホの事。」
「違う!」
「何が違うの?」
「私の好きと、哲夫の好きは違うよ…全然。」
「はぁ?一緒だっつーの。」
「哲夫が言った好きは…私を…ただの…ペットとして…」
:09/01/16 15:19 :SH901iC :GhjenJ72
#514 [ゆーちん]
私、何が言いたいんだろう。
言葉が上手く出てこない。
「シホ、もうやめろ。喋るな。また苦しくなるぞ。」
「私は…テツは…」
「黙れ。」
笑っていたはずの哲夫は、やけに物静かな声で私に命令した。
その後、私が黙ってるよう唇を塞いでくれた。
:09/01/16 15:21 :SH901iC :GhjenJ72
#515 [ゆーちん]
過呼吸なんかになってない。
だから今日は、息じゃなくって…。
哲夫の舌が、私の口の中を支配してくれた。
「…シホ、もう泣くな。」
初めてこの家に来た時の事を思い出した。
:09/01/16 15:22 :SH901iC :GhjenJ72
#516 [ゆーちん]
このベットの上で、私は哲夫に萌子を殺せと頼んだ。
ナイフで喉をひとつき。
そうしてくれればよかったのに、哲夫はナイフではなく、自分の舌を喉にやった。
:09/01/16 15:23 :SH901iC :GhjenJ72
#517 [ゆーちん]
あんな最悪なキス、初めてだったよ。
殺されたかったのに、殺してくんないんだもん。
でもね、人間の気持ちって簡単に変わっちゃうらしくて…今、このキスは最高だって思う。
:09/01/16 15:23 :SH901iC :GhjenJ72
#518 [ゆーちん]
喉に舌が這っていく。
気持ち良いとか、恐いとか、悲しいとか…そんなんじゃない。
嬉しくて、私はただただ涙を流していたの。
「テツ…」
「ん?」
「好きです。」
「俺も好きですよ。」
「うん、ありがとね。」
:09/01/16 15:24 :SH901iC :GhjenJ72
#519 [ゆーちん]
ペットとしての【好き】なのか、それとも人として【好き】と言ってくれてるのかはわかんない。
もう、どっちでもいい。
哲夫がいてくれるだけでいいよ。
:09/01/16 15:25 :SH901iC :GhjenJ72
#520 [ゆーちん]
いつの間にか、初恋をしていた自分が嬉しくてたまらない。
あの日、神様がナイフを置いてくれたなら感謝する。
死ぬ為の道具じゃなくて、私を人間らしくしてくれた道具。
あのナイフのおかげで、私は恋ができた。
:09/01/16 15:25 :SH901iC :GhjenJ72
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