闇の中の光
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#528 [ゆーちん]
「ふーん。なんか…学校みたい。」
ベットに座りながら笑う私の隣に、チョンと腰を降ろした哲夫。
「ありゃ学校より低レベル。幼稚園みたいなもんだな。」
「康とか幼稚園児っぽいもんね。」
「顔だけ大人で、中身は幼稚園児より幼い奴だ。」
:09/01/18 17:16 :SH901iC :.ySjYrww
#529 [ゆーちん]
煙草に火をつけるのかと思ったら、哲夫は私の手を取り自分の頬にあてた。
「何してんの?」
「ん?お前の手ぇ暖かいから。俺の顔寒い。」
「顔が寒いって表現おかしくない?」
あぁ、この気持ちを【愛おしい】とかって言うんだ。
哲夫が可愛くて、優しくしたくなる。
心臓をキュッと摘まれてるみたい。
:09/01/18 17:17 :SH901iC :.ySjYrww
#530 [ゆーちん]
その痛みが、気持ち良いの。
「そう?」
「うん。康孝がバカだって言ったよね?でもよく考えたら実は康孝より哲夫のがバカだったりして?」
私はもう片方の手も哲夫の頬に添えた。
「千早様をナメんな?」
「アハハ!」
人の笑顔って、安心する。
自分も他人も、笑顔は幸せになれるものなんだ。
:09/01/18 17:19 :SH901iC :.ySjYrww
#531 [ゆーちん]
両手で掴んだ哲夫の顔。
自分の方に引き寄せると、哲夫は『そんなバカな千早様を好きなシホが、1番バカだな。』と言ってから私にキスをくれた。
うん、そうだね。
私が1番バカだよ。
バカだけど、バカでよかったって思うんだ。
こんなに愛おしい気持ちを知らなかった自分をバカだと思うけど、その気持ちを教えてくれたのが哲夫でよかった。
ずっとこのままでいたい。
:09/01/18 17:20 :SH901iC :.ySjYrww
#532 [ゆーちん]
いつものようにお風呂に入りご飯も食べ終えた頃、哲夫が言った。
「シホちゃん。」
「何、テッちゃん。」
「デートしない?」
「…する。」
慌てて服を着て、化粧や髪を整えた。
:09/01/18 17:21 :SH901iC :.ySjYrww
#533 [ゆーちん]
「どこ行くの?」
「ん?内緒。」
哲夫に肩を抱かれ、暗くなった外をゆっくり歩く。
風が冷たい。
だけど哲夫が傍にいるから、平気。
:09/01/18 17:21 :SH901iC :.ySjYrww
#534 [ゆーちん]
歩いて向かった先は、近くの公園だった。
「ブランコ乗る?」
「乗らない。」
「そ。俺は乗っちゃうよ〜。」
哲夫はブランコに腰をかけ、小さく揺らした。
:09/01/18 17:22 :SH901iC :.ySjYrww
#535 [ゆーちん]
キーコーキーコー…
懐かしい音。
萌子が施設でいた時、園内にブランコがあった。
よく聞いた音。
ブランコはいつも人気で、取り合いしてたっけ。
:09/01/18 17:22 :SH901iC :.ySjYrww
#536 [ゆーちん]
「なぁシホ。」
「ん?」
私はブランコの向かいにある小さな鉄棒にもたれ掛かった。
「お前の名前、なんでシホにしたか覚えてる?」
「…星が好きだからでしょ?」
:09/01/18 17:23 :SH901iC :.ySjYrww
#537 [ゆーちん]
「うん、そう。」
私は空を見上げた。
「私も星、好きだよ。綺麗だよね。」
冬の星は、よく輝く。
真っ黒な空に、小さく光る星。
ベストマッチだよ。
:09/01/18 17:26 :SH901iC :.ySjYrww
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