闇の中の光
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#531 [ゆーちん]
両手で掴んだ哲夫の顔。
自分の方に引き寄せると、哲夫は『そんなバカな千早様を好きなシホが、1番バカだな。』と言ってから私にキスをくれた。
うん、そうだね。
私が1番バカだよ。
バカだけど、バカでよかったって思うんだ。
こんなに愛おしい気持ちを知らなかった自分をバカだと思うけど、その気持ちを教えてくれたのが哲夫でよかった。
ずっとこのままでいたい。
:09/01/18 17:20 :SH901iC :.ySjYrww
#532 [ゆーちん]
いつものようにお風呂に入りご飯も食べ終えた頃、哲夫が言った。
「シホちゃん。」
「何、テッちゃん。」
「デートしない?」
「…する。」
慌てて服を着て、化粧や髪を整えた。
:09/01/18 17:21 :SH901iC :.ySjYrww
#533 [ゆーちん]
「どこ行くの?」
「ん?内緒。」
哲夫に肩を抱かれ、暗くなった外をゆっくり歩く。
風が冷たい。
だけど哲夫が傍にいるから、平気。
:09/01/18 17:21 :SH901iC :.ySjYrww
#534 [ゆーちん]
歩いて向かった先は、近くの公園だった。
「ブランコ乗る?」
「乗らない。」
「そ。俺は乗っちゃうよ〜。」
哲夫はブランコに腰をかけ、小さく揺らした。
:09/01/18 17:22 :SH901iC :.ySjYrww
#535 [ゆーちん]
キーコーキーコー…
懐かしい音。
萌子が施設でいた時、園内にブランコがあった。
よく聞いた音。
ブランコはいつも人気で、取り合いしてたっけ。
:09/01/18 17:22 :SH901iC :.ySjYrww
#536 [ゆーちん]
「なぁシホ。」
「ん?」
私はブランコの向かいにある小さな鉄棒にもたれ掛かった。
「お前の名前、なんでシホにしたか覚えてる?」
「…星が好きだからでしょ?」
:09/01/18 17:23 :SH901iC :.ySjYrww
#537 [ゆーちん]
「うん、そう。」
私は空を見上げた。
「私も星、好きだよ。綺麗だよね。」
冬の星は、よく輝く。
真っ黒な空に、小さく光る星。
ベストマッチだよ。
:09/01/18 17:26 :SH901iC :.ySjYrww
#538 [ゆーちん]
「綺麗だな。」
哲夫は煙草をくわえながら空を見上げた。
白い煙が空を舞う。
「お前に言っておきてぇんだけどさ。」
「うん?」
「俺、マジでシホの事好きだからな。」
慌てて視線を哲夫に向けた。
だけど哲夫は空を向いたままで…信じられない事を言われた私は、目を丸くする事しかできない。
:09/01/18 17:26 :SH901iC :.ySjYrww
#539 [ゆーちん]
「お前この前、私をペットとかどうとか…私の好きと俺の好きは違うとか…」
ねぇ、心臓が痛いよ。
でもこの痛みは、心地いい方の痛み。
:09/01/18 17:29 :SH901iC :.ySjYrww
#540 [ゆーちん]
「一緒だっつうの。ペットとかさぁ…口実。お前を俺の傍に置いとくための。」
「哲夫、何言って‥」
「一目惚れって、生まれて初めてなんだよ俺。」
ずっと空を見ていた哲夫の目が、やっと私に降って来た。
「汚い格好でボロボロの女が倒れてて…俺なぜかそいつ見て惹かれちゃったんだよね〜。まさか、あんな汚い女に一目惚れするなんて…自分でもビックリ。」
:09/01/18 17:30 :SH901iC :.ySjYrww
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