闇の中の光
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#532 [ゆーちん]
いつものようにお風呂に入りご飯も食べ終えた頃、哲夫が言った。


「シホちゃん。」

「何、テッちゃん。」

「デートしない?」

「…する。」


慌てて服を着て、化粧や髪を整えた。

⏰:09/01/18 17:21 📱:SH901iC 🆔:.ySjYrww


#533 [ゆーちん]
「どこ行くの?」

「ん?内緒。」


哲夫に肩を抱かれ、暗くなった外をゆっくり歩く。


風が冷たい。


だけど哲夫が傍にいるから、平気。

⏰:09/01/18 17:21 📱:SH901iC 🆔:.ySjYrww


#534 [ゆーちん]
歩いて向かった先は、近くの公園だった。


「ブランコ乗る?」

「乗らない。」

「そ。俺は乗っちゃうよ〜。」


哲夫はブランコに腰をかけ、小さく揺らした。

⏰:09/01/18 17:22 📱:SH901iC 🆔:.ySjYrww


#535 [ゆーちん]
キーコーキーコー…


懐かしい音。


萌子が施設でいた時、園内にブランコがあった。


よく聞いた音。


ブランコはいつも人気で、取り合いしてたっけ。

⏰:09/01/18 17:22 📱:SH901iC 🆔:.ySjYrww


#536 [ゆーちん]
「なぁシホ。」

「ん?」


私はブランコの向かいにある小さな鉄棒にもたれ掛かった。


「お前の名前、なんでシホにしたか覚えてる?」

「…星が好きだからでしょ?」

⏰:09/01/18 17:23 📱:SH901iC 🆔:.ySjYrww


#537 [ゆーちん]
「うん、そう。」


私は空を見上げた。


「私も星、好きだよ。綺麗だよね。」


冬の星は、よく輝く。


真っ黒な空に、小さく光る星。


ベストマッチだよ。

⏰:09/01/18 17:26 📱:SH901iC 🆔:.ySjYrww


#538 [ゆーちん]
「綺麗だな。」


哲夫は煙草をくわえながら空を見上げた。


白い煙が空を舞う。


「お前に言っておきてぇんだけどさ。」

「うん?」

「俺、マジでシホの事好きだからな。」


慌てて視線を哲夫に向けた。


だけど哲夫は空を向いたままで…信じられない事を言われた私は、目を丸くする事しかできない。

⏰:09/01/18 17:26 📱:SH901iC 🆔:.ySjYrww


#539 [ゆーちん]
「お前この前、私をペットとかどうとか…私の好きと俺の好きは違うとか…」


ねぇ、心臓が痛いよ。


でもこの痛みは、心地いい方の痛み。

⏰:09/01/18 17:29 📱:SH901iC 🆔:.ySjYrww


#540 [ゆーちん]
「一緒だっつうの。ペットとかさぁ…口実。お前を俺の傍に置いとくための。」

「哲夫、何言って‥」

「一目惚れって、生まれて初めてなんだよ俺。」


ずっと空を見ていた哲夫の目が、やっと私に降って来た。


「汚い格好でボロボロの女が倒れてて…俺なぜかそいつ見て惹かれちゃったんだよね〜。まさか、あんな汚い女に一目惚れするなんて…自分でもビックリ。」

⏰:09/01/18 17:30 📱:SH901iC 🆔:.ySjYrww


#541 [ゆーちん]
真面目な顔して、そんな事言わないでよ。


涙が出そうじゃない。


「殺せ殺せって喚くし、生意気だし、汚いし?」


白い煙と一緒に笑いも吐き出した哲夫。


「お前にとっちゃ同情なんていらねぇんだろうけど…俺はお前の事、可哀相な奴だなって思ったよ。だから余計に惹かれた。こいつ、俺より辛い思いしてんだろうなって思った。」

⏰:09/01/18 17:30 📱:SH901iC 🆔:.ySjYrww


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